辻 10 ページ15
「申し訳御座いませんでした、霧野クン」
前を歩くイドラは目を細め、マスクの下で嗤いながら俺に謝った。
しかしその態度からは申し訳ないという気持ちが微塵にも感じられない。
「…別に」
俺は今さっき処置してもらった右頬の引っ掻き傷を指でなぞりながら、そう呟いた。
この傷はさっき『ウルフ』に倒された時についた傷だ。
倒した拍子に軽く掠った程度だと思ったのだが彼のツメの切れ味が良かったのか予想よりも深く、血が止まらなかった。
だからなのか先程イドラに消毒されガーゼを貼られ、
そして現在そのイドラの案内で何処かへと向かっている。
「団員は皆、余所者をあまりよく思っておりません。
しかし、彼等はやり過ぎました。
あとでしっかり言い聞かせてやりますよ」
「特にこの子には」とイドラは隣に並んで歩いていたウルフの背中を叩いた。
結構強めに叩かれたように見えたが、ウルフは特に反応せず無言でただ歩き続けた。
…コイツ、俺に怪我を負わせた張本人なのに謝りもしない。
それどころか、一言も言葉を交わさずに俺を睨みつけている。
…何なんだよ。
「着きましたよ」
不意に足を止め、イドラは振り返って目の前のテントを指差した。
何処にでもある、普通のテントだ。
他のちょっと違うのは模様が派手な所だけ。
「此処が目的の場所か？
このテントが？」
「はい、そうですよ？」
「…何か仕掛けとかでもあるのか？」
「まさか。
貴方の願いを叶えて差し上げるだけですよ」
彼女のその言葉に俺は思わず目を見開いた。
俺の願いを叶える……？
「…それって、つまり…」
「ええ、会わせてあげますよ。
クジャク…いえ、“神童拓人”に」
確かに聞いた。
“神童拓人”と言う名を。
2年間、ずっと忘れる事のなかった親友。
彼の入院していた病院が破壊されたと聞いて、どれほど心配したことか。
だが、やっと会えるんだな、神童。
やっと、お前に会えるんだな＿＿
「準備はよろしいですかな？」
イドラはテントの入り口の前に立ち、幕に手を掛けた。
俺は、イドラの目を見て頷き、入り口の前に立つ。
「…そうですか。
では、御対面で御座います」
イドラは最後にそう言って、テントの入り口の幕を上げた。
瞬間、目に入ったのは＿＿＿
「……え…？」
喉元にナイフを突き付け
涙を流している、親友だった。
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ミア(プロフ) - 分かりました！ 次に作品を作る時にでも出してもらえれば幸いです！ (2019年2月25日 7時) (
レス) id: 62a5f394e4 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - ミアさん» コメントありがとうございます！大変申し訳ありませんがこの物語にこれ以上登場人物を入れてしまうと元からｺﾞﾀｺﾞﾀしていることお話が更にｺﾞﾀｺﾞﾀしてしまうと思います…有難いお話ではありますが今回はお断りささて頂きますorz (2019年2月24日 23時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - コメント失礼します。 私、キャラを考えるのはすごく好きなんですけど、ストーリーを考えるのが苦手で代わりにこの作品に出してもらえませんか？ 設定はコメント欄に書くので、お願いします！( ＞Д＜；) (2019年2月24日 16時) (レス) id: 62a5f394e4 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 未来の光に咲く鍵の花さん» コメントありがとうございます！ 本当ですか？嬉しいです(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) 『小生』は『しょうせい』と読みます！ 分かりづらくてすみません！ (2015年3月4日 23時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
未来の光に咲く鍵の花(プロフ) - この小説の世界観…好きです！あのすいません、『小生』と書いてなんと読むのですか？ (2015年3月4日 17時) (レス) id: e1d834432f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊IJu＊ | 作成日時：2015年1月24日 11時
