◇ラプンツェルの夜更かし ページ44
「…仲直りは、してない……かな」
改めて考えても、私の中ではアレは仲直りじゃない。
でもちょっと自分でも曖昧で、私は歯切れ悪くそう答えると、タカナシは「そうなの？」と首を傾げた。
「だって、まだ許せないから。フドウがやった事。
サクマとゲンダの事……まだ、許せないの」
「……そう」
タカナシは天井を見上げ、目を細める。
その横顔は何だか複雑だ。
その時のタカナシはどう考えてるのか、わからなかった。
「……あのね、A。実は……」
でもタカナシは不意にこっちの方を向いて、口を開いた。
「どうしたの？」とタカナシの方を見ると
タカナシは半開きの口を閉じて、すぐに視線を私から逸らす。
その口は何か言いたげにｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮしていて
私は首を傾げてタカナシを見つめた。
「……タカナシ？」
「あ……いや、その………
……あのハゲの事、どう思ってるのかなって。
ほら、アンタ。アイツのせいで散々な目に合わされてるじゃない？
だから、結構憎んでたりするのかなって」
やがてタカナシはようやく言葉を紡いで、私に尋ねた。
でも表情が不満そう、というか……
本当にその事を聞きたかったのかなって顔をしていた。
タカナシの急な質問に私は目を瞬かせる。
そうして少し考えてから、私はサイドの髪を1束掴んで答えた。
「……憎んでは、ないと思う」
「…へぇ。じゃあ、恨んでる？」
「恨んでる…恨んでる、のかな。
確かにサクマとゲンダの事は恨んでるけど……」
「どちらにしろ好きではないでしょ、あんな奴」
「…ううん」
「……………えっ」
途端にｷﾞｮｯと目を見開くタカナシ。
私、変な事言ったかな。
ああ、でも言ったかも…だってフドウの事恨んでるって言っておいて、嫌いではないって言ったから。
でも本当だもん。
確かに禁断技の件は許してないし、許せないし。
だからって嫌いかと言われたら、そうではないと思う。
フドウは確かに怖いし、意地悪だし、すぐからかってくるし、嫌な事もして来るし。
でも同時に優しくて、気遣いが出来て、嫌いな私の事も差別せずにちゃんと相手してくれる。
そこら辺は普通の人よりちゃんとしてると思うの。
何より、この潜水艦内で1番私の面倒を見てくれたのはフドウだもん。
私を初めてお外に連れ出したのはフドウだもん。
私を病院から迎えに来たのはフドウだもん。
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＊IJu＊(プロフ) - 胡蝶之夢さん» コメントありがとうございます！楽しみにして頂いているようで嬉しいです(｀･ω･´)更新頑張ります〜！ (2020年5月25日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶之夢 - とってもいいところで切り上げられているので、続きが気になります！更新頑張ってください！ (2020年5月23日 1時) (レス) id: c7cfce80ec (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 桜吹雪さん» コメントありがとうございます！自分もまだまだ小説の書き方は模索している最中ですが、そう言って貰えて嬉しいです…！ありがとうです( ´ ▽ ` ) (2020年4月21日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪(プロフ) - あぁー......尊いぃ......（語彙力皆無）ホント、ストーリーの構成から文章の書き方から全部上手いですね！尊敬します！ (2020年4月20日 19時) (レス) id: 8c61b1b0e7 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 氷浦メグさん» コメントありがとうございます！早くくっついて欲しいですね〜(他人事) 素敵な夫婦に…なると、いいな…… (2020年3月22日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
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