◇ラプンツェルの感情 ページ42
「………はぁ、」
上から漏れる、大きな溜息。
私は思わず視線を落とす。
フドウ、呆れてるよね……嫌に思ってるよね。
変な事言い出したから、困ってるよねを
ああ、もしかしたらフドウは本当に私を置いて行こうとしていたのかも。
でも変に見破っちゃったから、面倒に思われてるのかな。嫌われちゃったかな。
……いや、元から私はフドウに嫌われてるや。
それでも此処にいるのは、単純にソウスイが私を追い出さなかったからだし。
「……安心しろ。もう置いてったりはしねーよ」
「………えっ？」
結構間が空いてから、フドウは溜息混じりにそう言った。
私は思わず顔を上げると
フドウはおもむろに、私の方に手を伸ばす。
白くて私より大きな、骨張った手。
ソレがそのまま私の頭の上に置かれると
ﾎﾟﾝﾎﾟﾝと優しく、私の頭を撫でてくれた。
「……お前が此処に居たいってんなら、もう置いてったりしねぇから。
だから…もう、そんな顔するな。
こっちの調子が狂っちまうぜ」
「……」
だがすぐにフドウは私の頭を撫でていた腕を引っ込めると、私から目をそらしてそう続けた。
私はフドウにしては珍しいその言動にﾊﾟﾁﾊﾟﾁと瞬きを繰り返し、ゆっくり視線をフドウから落とした。
そっと撫でられていた頭に触れると、胸の辺りがじんわりとあたたかくなって行くように感じた。
……なんだろう、コレ。
なんなんだろう、コレ。
わからないけど、でも前に抱えた嫌な感情よりはずっとマシ。ううん、寧ろイイ。
胸の辺りがあたたかくて、ちょっとﾄﾞｷﾄﾞｷもして。
擽ったくて、心地よい感覚。
フドウの事はまだ許せていない。
サクマとゲンダの事はまだ許せない。許せるはずがない。
でも……でも、ちょっとだけなら。
前みたいに、話してみてもいいかな。
サクマとゲンダも、許してくれるかな。
「…それと、その……前の事、悪かったな。
急に怒鳴ったり…乱暴にしたりして……まさかお前が……」
「ふふふっ……ふふっ」
「って…なんで急に笑い出すんだよ。気持ち悪いな…」
更にはらしくなく首に手をやって謝り始めて。
そのしおらしい姿があんまりにも可笑しくて、私は思わずｸｽｸｽ笑ってしまうと、途端にフドウは訝しげに私を見遣る。
だって、フドウがさっきから変な事ばっかり言うんだもん。
おかしな事ばっかり言うんだもん。
私もちょっと、可笑しくなっちゃうよ。
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＊IJu＊(プロフ) - 胡蝶之夢さん» コメントありがとうございます！楽しみにして頂いているようで嬉しいです(｀･ω･´)更新頑張ります〜！ (2020年5月25日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶之夢 - とってもいいところで切り上げられているので、続きが気になります！更新頑張ってください！ (2020年5月23日 1時) (レス) id: c7cfce80ec (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 桜吹雪さん» コメントありがとうございます！自分もまだまだ小説の書き方は模索している最中ですが、そう言って貰えて嬉しいです…！ありがとうです( ´ ▽ ` ) (2020年4月21日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪(プロフ) - あぁー......尊いぃ......（語彙力皆無）ホント、ストーリーの構成から文章の書き方から全部上手いですね！尊敬します！ (2020年4月20日 19時) (レス) id: 8c61b1b0e7 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 氷浦メグさん» コメントありがとうございます！早くくっついて欲しいですね〜(他人事) 素敵な夫婦に…なると、いいな…… (2020年3月22日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
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