◇ラプンツェルの恐怖 ページ36
「……オイ、いい加減にしろ」
また、低い声。怖い顔。そうしてまた私を脅す。
私はﾋﾞｸﾘと肩が震えた。
でもこのエイリア石を渡すワケにはいかない。
だってコレは私が貰った物だから。
サクマとゲンダを守るのに必要だから。
この石の力は凄い。
私の病気の事も忘れさせてくれる。
普通の人間のように動いても、忘れさせてくれる。
この力が無いと私はサクマとゲンダを守れない。
それどころかまともに動けなくなって、走る事も出来なくなる。
この石が無いと私はまた、病気の私に逆戻りだ。
ベッドの上に1人で、お父さんとお母さんと待つだけの私に。
それは嫌。それだけは嫌。
もう私は寂しい思いをしたくない。
不安な日々を過ごしたくない。
不自由な世界の中で生きたくない。
この石があれば、それが解決する。
エイリア石があれば、私は自由だ。
病気の事なんか忘れて、普通の人みたいに走ったり、驚いたり、無茶出来る。
普通の人みたいになれるんだよ。
そんな石が2つもあるんだ。
手放すワケにはいかない。
ううん、手放しちゃダメ。絶対。
絶対、手放すものか。
「これが無いと私は普通と人達みたいに動けないのっ…！サクマとゲンダを守れないの！」
「何も2つとも没収だなんて言ってねぇよ……
1つだ1つ。いい加減にしないと真面目に海から突き落とすぞ」
「…そうやって脅さないと、石の1つも奪えないんだ」
「あン…？」
「フドウはそうやって、私を脅して怖がらせないと女の子から石を奪う事なんて出来ないんだ！
フドウは私と違って男の子なのに！そんな事も出来ないんだ！」
「っ……言わせて置けばっ……！！」
「ひっ…？！」
言ってから私は後悔した。
その直後、フドウの腕が私の胸倉に伸びた。
乱暴に掴むと私を壁に押し付ける。
強い力だ……それに押し付けられる時に背中を壁に打って痛い。
私の手首を掴む腕にも力が込められ、さっきよりも強く、まるで拘束具のように握り締められる。
このままじゃ折られてしまいそう。
そんなフドウは物凄い形相で私を睨みつける。
ヘビに睨まれたカエルになった気分。
苦しくて、痛いのに。
怖くて、恐くて、動けない。
「こっちが優しく言ってやってるってのになんだ、その態度はっ？！こっちの気も知らねェで言いたい事言いやがって！！」
遂にフドウはブチ切れた。
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＊IJu＊(プロフ) - 胡蝶之夢さん» コメントありがとうございます！楽しみにして頂いているようで嬉しいです(｀･ω･´)更新頑張ります〜！ (2020年5月25日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶之夢 - とってもいいところで切り上げられているので、続きが気になります！更新頑張ってください！ (2020年5月23日 1時) (レス) id: c7cfce80ec (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 桜吹雪さん» コメントありがとうございます！自分もまだまだ小説の書き方は模索している最中ですが、そう言って貰えて嬉しいです…！ありがとうです( ´ ▽ ` ) (2020年4月21日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪(プロフ) - あぁー......尊いぃ......（語彙力皆無）ホント、ストーリーの構成から文章の書き方から全部上手いですね！尊敬します！ (2020年4月20日 19時) (レス) id: 8c61b1b0e7 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 氷浦メグさん» コメントありがとうございます！早くくっついて欲しいですね〜(他人事) 素敵な夫婦に…なると、いいな…… (2020年3月22日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
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