◇ラプンツェルとサッカー ページ26
「やああああ！！」
ボールを持つヒエに向かって行き、彼の前に立ちはだかる。
ヒエは私の動きを見てスキを伺っている。
右に左に体を揺らし、抜けれる瞬間を狙ってる。
でもこういう時、焦ってはいけないってフドウから習った。
相手の動きをちゃんと見て、予測して、動けって。
だから私も同じように動く。
まるでヒエの鏡の様に左右に動く。
そうしたら焦っちゃったんだろうね。
不意にヒエが右側に大きく動いた。
今だっ…！と思って私は足を伸ばすと、私の足がボールに触れて、そのままボールを外に弾いた。
つまり、ゴールを防いだのだ。
「ナイスブロックだよ、A！」
自分の活躍を自覚するよりも前に、私と同じチームのタカナシに褒められた。
タカナシは何処か嬉しそうに笑ってそう言った。
ちょっと嬉しかったけれど、直後に私は慌てて前を向く。
た、タカナシもフドウと同じだから…
サクマとゲンダの事、私に黙ってたから。
でもその後、視界の端で眉を下げるタカナシが見えて酷く心が痛む。
…ごめんね、タカナシ。
私、タカナシの事が嫌いってワケじゃないんだよ。
ただ、このやり場のない感情をぶつける術を知らないの。
この醜い感情を発散出来る所を知らないだけなの…
「…」
−−−
その後も何回か同じ練習を繰り返した。
攻める側が攻めて、守る側が守る。
言葉で表すとシンプルだけど、やってる事は本当に複雑。
時にはトリッキーな動きを見せつけて。
時には高い身体能力を見せつけて。
時にはレベルの高い駆け引きを見せつけて。
私はギリギリついて行けてるって感じだった。
それもそうだよね。今までフドウ相手にしかやってないもん。
それにフドウみたいに全員のプレイを見ているってワケでもないから。
さっきの比得みたいに上手くボールを奪う方が珍しかった。
そうして私の息が切れて来た頃にフドウから休憩の合図が。
その合図と共に私はその場に崩れると、額から伝う汗を腕で拭った。
…皆、やっぱりすごい。
遠目から見ていてもすごいなって思っていたけれど。
間近で見て改めて思った。
1人1人がまるでボールを生きているかのように扱っていた。しかも手懐けてるみたいに自由自在に。
私はまだそこまでじゃない。
だから人一倍ミスが多くって、同じチームの人達には申し訳なかった。
これが…サッカー。
私がやりたかった、サッカーなんだ。
「…楽しく、ない」
私は思わず目を伏せた。
◇ラプンツェルは染まりたくない→←◇ラプンツェルの初めての練習
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＊IJu＊(プロフ) - 胡蝶之夢さん» コメントありがとうございます！楽しみにして頂いているようで嬉しいです(｀･ω･´)更新頑張ります〜！ (2020年5月25日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶之夢 - とってもいいところで切り上げられているので、続きが気になります！更新頑張ってください！ (2020年5月23日 1時) (レス) id: c7cfce80ec (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 桜吹雪さん» コメントありがとうございます！自分もまだまだ小説の書き方は模索している最中ですが、そう言って貰えて嬉しいです…！ありがとうです( ´ ▽ ` ) (2020年4月21日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪(プロフ) - あぁー......尊いぃ......（語彙力皆無）ホント、ストーリーの構成から文章の書き方から全部上手いですね！尊敬します！ (2020年4月20日 19時) (レス) id: 8c61b1b0e7 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 氷浦メグさん» コメントありがとうございます！早くくっついて欲しいですね〜(他人事) 素敵な夫婦に…なると、いいな…… (2020年3月22日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
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