◆悪者の慰め方 ページ23
ﾀﾞｧｱﾝｯ！と、食堂で大きな音が響いた。
途端に静かになる食堂。
視線の先には目を伏せた黒井が、震える拳を机に叩き付けていた。
「なっ……ど、どうしたの、A…」
机を挟んだ正面には、小鳥遊が驚いた顔をしていた。
その状況から、食堂に来たばっかりの俺でも大体の流れは予想でき、俺はポケットに突っ込んだ手が汗ばむのを感じた。
「……ごめんね」
ｸﾞｯと拳を握り締め、彼女は小さな声で何故か謝った。
そのまま彼女は立ち上がると、食器の乗ったトレイを持ち上げる。
「私、ご飯丁度食べ終わったし…先にグラウンド行くから……じゃあね、タカナシ」
「あ、ちょっと…A！」
そうして彼女は小鳥遊の呼び止める声を聞かず、トレイを下げに行ってから足早に食堂を出て行った。
その時、ﾁﾗｯと彼女のトレイの上の食器の中身が見えたが、まだおかずも飯も残っていた。
アイツ、いつもは残さないクセにさ。
「ど……どうしちゃったの、A…」
黒井が部屋を出て行くと、止まっていたかのように静かだった食堂は再び動き出す。
食器が擦れる音の中にﾋｿﾋｿと話す声を微かに混じえながら。
小鳥遊は終始、呆然とした様子で食堂の扉の方を見ていたが、やがて視線を落として項垂れると、頬杖をついて大きな溜息を吐いた。
「……よぉ、」
そんな彼女の前に俺は歩み寄ると、持っていたトレイを机に置いて声を掛けた。
途端に小鳥遊は俺を睨むように見上げる。
まるで『お前が何かやったのか』とでも訴えているようだった。
「随分と好かれてンのな、お前」
「……アンタ、またあの子に何か吹き込んだの？」
「まさか。吹き込んだのは俺じゃなくて総帥サマだ。
佐久間と源田の事、バラされた」
「バラされたって…」
「ついでに俺達が今まで2人の件を黙ってた事もな。
あの様子じゃ、もう前みたいに接してはくれないだろーよ」
黒井が座っていた席に座り、そう話してやると
小鳥遊は一瞬驚いた顔をした後に、悲しそうに眉を下げて視線を落とす。
ﾂﾝﾂﾝとサラダに付いているプチトマトを箸でつつきながら彼女は「そう……」とだけ呟くと、重い溜息を吐いた。
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＊IJu＊(プロフ) - 胡蝶之夢さん» コメントありがとうございます！楽しみにして頂いているようで嬉しいです(｀･ω･´)更新頑張ります〜！ (2020年5月25日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶之夢 - とってもいいところで切り上げられているので、続きが気になります！更新頑張ってください！ (2020年5月23日 1時) (レス) id: c7cfce80ec (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 桜吹雪さん» コメントありがとうございます！自分もまだまだ小説の書き方は模索している最中ですが、そう言って貰えて嬉しいです…！ありがとうです( ´ ▽ ` ) (2020年4月21日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪(プロフ) - あぁー......尊いぃ......（語彙力皆無）ホント、ストーリーの構成から文章の書き方から全部上手いですね！尊敬します！ (2020年4月20日 19時) (レス) id: 8c61b1b0e7 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 氷浦メグさん» コメントありがとうございます！早くくっついて欲しいですね〜(他人事) 素敵な夫婦に…なると、いいな…… (2020年3月22日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
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