◇ラプンツェルは怒ってる ページ22
「……」
「お…おはよう。アンタ、相変わらず早起きだね。
よく朝から身体動かせるわ」
タカナシは私と目が合うも、引き攣らせた笑みを浮かべながら、ちょっとぎこちない言葉で話し掛けて来た。
私はすぐにタカナシから目をそらし、ご飯を口の中に押し込む。
私の反応に少し驚いた様子のタカナシだったけれど
すぐにまた笑みを張り付けると、私の向かいの席に腰掛け、ご飯の乗ったトレイを置いた。
「ところでアンタ、大丈夫なの？
昨日の疲れ、もう取れたの？
あんまり無理するんじゃないよ」
「……」
「…そう言えば、総帥となんか話したんでしょ？あの人と何話してたの？
ほら、総帥って謎が多いしあんまり会わないからよくわからないじゃん？そんな人との話は少し気になって…」
「……」
「……」
タカナシはプレートに乗っていたソーセージに箸をつけるが、食べようとはしないでずっと話してた。
時々、私の顔を伺うような素振りを見せながらも
いつもは喋らないクセに、ずっと喋ってた。
私はお箸を握る指に力を込める。
ああ、まただ。フドウの時と同じ感情が、私の中から湧き上がる。
とても、嫌な感情だ。
こんな感情、抱えたくなかった。
こんな風に、思いたくなかった。
でも、許せないの。
今まで黙っていたのが。
サクマとゲンダの事をわかっていながら。
私には知らせなかった事が。
私の普段の様子から、私が2人を慕っていた事は知っていたはずだもん。
そうでなきゃ、よっぽど他人に興味が無い人間だ。
それなのに、私に教えてくれなかった。
禁断技の事も。
ソレを2人が使える事も。
試合で使おうと思ってる事も。
ｸﾞﾂｸﾞﾂと煮える鍋のように茹だる感情。
蓋をしてしまいたいけど、吹きこぼれてしまいそう。
私はね、怒ってるの。
すごく、すっごく怒ってる。
でもその矛先を何処に向ければいいのかわからない。
だってみんなが黙ってたから。
みんながみんな、グルだったから。
タカナシもフドウも、みんな。
「……ねぇ、どうしちゃったのさ？」
だからお願い。これ以上、私を怒らせないで。
「さっきから黙っちゃって。具合でも悪いの？」
これ以上、私に関わらないで。
「だったら無理しないでよ？
あのハゲには私から言っとくから……」
これ以上、私に優しい言葉を掛けないで。
私を信じさせないで。
そんな顔でそんな風に話し掛けないで。
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＊IJu＊(プロフ) - 胡蝶之夢さん» コメントありがとうございます！楽しみにして頂いているようで嬉しいです(｀･ω･´)更新頑張ります〜！ (2020年5月25日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶之夢 - とってもいいところで切り上げられているので、続きが気になります！更新頑張ってください！ (2020年5月23日 1時) (レス) id: c7cfce80ec (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 桜吹雪さん» コメントありがとうございます！自分もまだまだ小説の書き方は模索している最中ですが、そう言って貰えて嬉しいです…！ありがとうです( ´ ▽ ` ) (2020年4月21日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪(プロフ) - あぁー......尊いぃ......（語彙力皆無）ホント、ストーリーの構成から文章の書き方から全部上手いですね！尊敬します！ (2020年4月20日 19時) (レス) id: 8c61b1b0e7 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 氷浦メグさん» コメントありがとうございます！早くくっついて欲しいですね〜(他人事) 素敵な夫婦に…なると、いいな…… (2020年3月22日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
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