◇ラプンツェルは真実を知る ページ13
「だから俺達はあの御方に願った！
例えこの身が滅びてもいい…力が、強さが欲しいとな！
この力があれば、鬼道に勝てる…！
鬼道だけじゃない！雷門にも勝って、思い知らせてやるんだ！
そしてヤツに刻み付けるんだ！敗北の烙印を！
俺達の手で！ヤツを引きずり下ろしてやるんだっ！！」
…怖かった。
正直に言うと、このまま私は踵を返して逃げてしまいたかった。
それ程までに目の前の2人は目も当てられなくて
ｿﾞﾜｿﾞﾜとする、蛇のような狂気を肌で感じた。
止められない。ソウスイが言っていた言葉を思い出す。
これはもう、止められない。
私でも止められない。
ここまで来てしまったら、もう。
何をしても、2人は力に溺れたままで救えない。
「…だから、止めないでくれ、A」
2人の言葉に絶句していると、不意にﾎﾟﾝとサクマの手が肩に乗っかった。
大きくてあたたかいはずのその手は
今はまるで鉛のように、ただ重く感じた。
「俺達はこの闘いで、過去の雪辱を晴らす。
勝って、俺達の力を示さなきゃいけないんだ」
「………」
「…Aもこの後、練習だろう？
無理はしない程度に、頑張れよ」
最後にそう言って2人は、トレーニングルームに入って行った。
すれ違いざまにゲンダに頭を撫でられたけれど、全然体温を感じなかった。
やがてトレーニングルームの扉が閉まり、辺りが静かになると、足の力が抜けた私はその場に崩れてた。
……ｶﾞﾗｶﾞﾗと、音を立てて何かが私の中で崩れていく。
優しかったサクマとゲンダも。
楽しかった此処での暮らしも。
一生懸命、頑張って来たサッカーも。
全部、全部、崩れていく。
だって幻想だったから。
私が何も知らなかったから。
私が信じていた物は全部、綺麗に飾り付けられていた箱の外側だけ。
中にはどれだけ醜くて汚い物があるのか。
ソレを見ようともせずに、今まで過ごして来た。
思えば異常だったよね、何もかも。
潜水艦でわざわざ見つからないようにして。
そんな所で毎日サッカーばかりやって。
エイリア石だって、欠片1つで重い病気を忘れさせる程力をくれるし。
サクマとゲンダにあんまり会えなくなったのも、異常だった。
だって最近は1日中姿がなかったんだよ？
どうして疑問に思わなかったんだろう。
いや……きっと、
この日常を、壊したくなかったから。
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＊IJu＊(プロフ) - 胡蝶之夢さん» コメントありがとうございます！楽しみにして頂いているようで嬉しいです(｀･ω･´)更新頑張ります〜！ (2020年5月25日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶之夢 - とってもいいところで切り上げられているので、続きが気になります！更新頑張ってください！ (2020年5月23日 1時) (レス) id: c7cfce80ec (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 桜吹雪さん» コメントありがとうございます！自分もまだまだ小説の書き方は模索している最中ですが、そう言って貰えて嬉しいです…！ありがとうです( ´ ▽ ` ) (2020年4月21日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪(プロフ) - あぁー......尊いぃ......（語彙力皆無）ホント、ストーリーの構成から文章の書き方から全部上手いですね！尊敬します！ (2020年4月20日 19時) (レス) id: 8c61b1b0e7 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 氷浦メグさん» コメントありがとうございます！早くくっついて欲しいですね〜(他人事) 素敵な夫婦に…なると、いいな…… (2020年3月22日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
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