キミとつくった花冠は〜もうひとつの花冠〜【ゴウセル】

○暑くない○ ページ50

「と、とりあえず……服…ありがとうね、ゴウセル！」



着かけだったゴウセルの服をきちんと着て、私はゴウセルにお礼を言った。


ゴウセルの服は大きくって、袖は捲らないと手が出て来ないぐらい。

丈もﾊﾟｯと見短いワンピースみたいな感じだけれど、流石に短過ぎてそのままだと見えてしまいそうなので
大きなタオルを腰に巻いてスカートみたいにして上手くやり過ごした。



「ゴウセル、本当に大丈夫…？
寒かったら言ってね？」

「いや、大丈夫だ。
寧ろ今日は暑いから丁度いい」



私の服については解決したけれど、ゴウセルについては解決していない。
でもゴウセル用の服なんてないから、私の服が乾くまではどうにもならない。

上がまだ裸の状態のゴウセルに私は謝ると、ゴウセルは首を横に振ってそう言ってくれた。


ゴウセルはたまに意地悪な事言うけれど、やっぱり優しい人だ。



「そっか…確かに暑いかも……」



…でもゴウセルの言う通り、確かに今日は暑い。


ううん、暑い日は今日だけじゃない。ここ暫く。
きっと夏が近付いているんだ。


だから長袖だととても暑く感じるの。

額に汗だって滲んで来ちゃって…



「ゴウセルは暑くない？」

「ああ、俺は大丈夫だ。
…だが、Aは暑そうだな」

「う、うん…暑いな」



一応ゴウセルにも暑くないか聞いてみたけれど、ゴウセルは大丈夫みたい。

そりゃそうだよね、だって上裸だもん。
私に比べたら随分涼しい事だろう。


それに、私…………



「長袖着たのって初めてなんだけど…すっごく暑いんだね」



くるりとその場で一回転しながら私は苦笑する。

実は長袖着るの、これが初めてなんです。


いつもはあの袖の短いワンピースしか着てなかったから…

そうなったら冬はどうしてたのか、って言われそうだけれど、そもそも冬はあまり外に出なかったし
出るとしても上にいっぱい羽織ったり、手袋とかマフラーしたりしてたから、そこまで寒くはなかったよ。


だから、何だか新鮮。長袖着てるのって。



「それに……ゴウセルのニオイがする」



ゴウセルの服を借りているともう1つ、新鮮な発見があって、私は思わずｸｽｯと笑う。

服の袖を鼻に近付けてニオイを嗅いでみると、私のじゃない、ゴウセルのニオイがして、何だか擽ったい気持ちになった。

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