【イナイレ】シッカーラプンツェル4【不動明王】 (ページ10)

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◇ラプンツェルは誤解されるページ10

ここでいつもの私ならバスの中を思う存分歩き回って、終始興奮していたんだろうな。

だってバスに乗るのは初めてだし
何よりライモンが乗っているバスだから。

でも状況が状況だから、見回る事も出来なくて。
私はただフドウに促されるまま、1番前の席にフドウと一緒に座った。

私が通路側で、フドウがその隣。
更にその隣には、よりにもよってキドウが座っていた。

「(うぅ…気まずい)」

静かな車内。
誰も言葉を発する事はなく、ただ見覚えのある道を走る。

でもなんだか見られている気はした。
……というか、実際見られてるんだろうな。

さっきから視線を感じるし、そのせいでとても落ち着かない。

「…何処にあるの？真・帝国学園は？」

「俺の言う通り走ってりゃ着くよ」

私達の前の1人席に座る女の人がフドウに尋ねると
フドウは涼しい顔をして簡単に答える。

というか、フドウは落ち着き過ぎじゃない…？

あのやり取りの後にキドウの隣に座っているのに
まるで他人事みたいな顔をして。

キドウもキドウでフドウを視界に入れたくないんだろう。
さっきからずっと窓の外を眺めてる。

……気まずい。

私はタカナシから借りた帽子をｷｭｯと握り締め、なんとかその空気に耐える。

早く着かないかな……そう考えていたら
不意にﾋｿﾋｿと小声話す話が、私の耳に入ってしまった。

『なぁ……あの黒い子、どっかで見た事ない？』

『どっかで、って…何処で？』

『あの長い髪……もしかして、最近行方不明になったって言う女の子じゃない？』

「っ……？！」

その一言に、私は思わずﾄﾞｷｯとした。

咄嗟に顔半分を帽子で隠すけど、もう手遅れなんだろうな。

髪の毛……帽子が落ちた時に溢れちゃって、そのままにしちゃったけど、やっぱり無理矢理にでもすぐに詰めて被り直せば良かったのかな……

私の髪の毛、とっても長いもんね。
それが特徴的なのかな。

テレビで映ってた私の写真の髪も長かったし。

タカナシからも『髪は隠しな』って言われてたし。

『って事は…アイツ、まさか誘拐にまで手を出したでヤンスか？！』

『流石に悪戯で済まされるモンじゃないぜ…』

『酷いっス……あんまりっス……』

『染岡くん、あの子の様子、可笑しかったのって…』

『ああ…多分脅されてんだろ。
だから鬼道達に助けを求めて……』

ああ、まただ。

また誤解されてる。