◇ラプンツェルは願う ページ7
話を聞いていた白髪の人達も真剣な顔付きになって、私は逆にキドウに手首を掴まれた。
そのまま私は彼等が乗ってきたと思われる空色のバスの方へ引かれ、でも逆らう事も出来ずに頭の中でぐるぐるとまた考える。
どうしよう…どうすれば。
このままじゃ、連れてかれちゃう。
ライモンの人達に連れてかれちゃう。
ライモンの事は好き。
だけど、それはまずい。
私の楽園は真・帝国学園。
私が強くなったのも、ここにいるのも真・帝国学園のおかげ。
そこから遠ざかるのは、嫌。
離れるのは…みんなから離れるのは、嫌っ…！
誰か…誰か、誤解を解いて。
違うって言って。
そうじゃないって言って。
誰か………
＿＿＿＿＿＿フドウ！！
「っ……？！」
そんな私の願いが通じたのか。
突然、キドウ目掛けてサッカーボールが飛んで来た。
間一髪の所で円堂が受け止めたが、私はボールに驚いてその場で尻餅を付いてしまう。
その拍子に帽子が飛んでしまい、折角頑張ってしまっていた長髪が一気に溢れた。
「なんだなんだァっ？！」
「大丈夫、円堂くん？」
「ああ、なんとか…鬼道も大丈夫か？」
「大丈夫だ。すまないな、円堂」
お互いに無事かどうか確認し合っていると、ふとボールが飛んで来た方向から足音が聞こえた。
みんな一斉にその方向へと向くと、彼を睨みつける。
でも私はそこにいた人物を見て心底安心してしまう。
私にはまるで、助けてに来てくれた王子様のように見えたから。
「困るんだよなァ、ウチのチビ連れてかれたら。
それでも一応ウチのチームの駒なんで」
フドウは私達の方まで歩み寄って来ると、ﾆﾔﾆﾔと笑いながらそう言った。
さり気なくチビって言われたけれど、今は全然気にしない。
寧ろ、最近そんな風に呼ばれなかったから、こんな状況でちょっと嬉しくも感じたり。
「ウチのチーム…だァ？」
「お前…もしかして…！」
「…オイ、いつまでそっちいるつもりだ？ちんちくりん」
「…！」
でもライモンの人達は明らかな敵意をフドウに向ける。
そんな中、フドウに呼ばれたので私は帽子を持って立ち上がると、白髪の人の制止の言葉も聞かずに、キドウの手を振り払ってフドウの元まで駆け寄った。
フドウの背に隠れるようにしてライモンと対峙すると
ライモンはより一層眉間にシワを刻んで険しい顔をする。
ああ、やっぱり敵として見られてる…
こうなるんだったら、あのメガネの人からサイン貰うんだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
