◇ラプンツェルは見透かされる ページ48
「お前は佐久間と源田を守る為に此処に立ってる。
俺の指示に従ってるのも2人と雷門を守りたいから、だろ？
お前にとって、この試合の勝ち負けなんてどーでもいい。…いや、寧ろ負けたいと思ってるんじゃないか？」
「そっ……そんな、事……」
「でも源田が禁断技を使わずに点を入れられた。
なら、あとは佐久間にボールを渡さないようにするだけ。勝手に雷門が点を決めるのを待つだけ。
源田を守り、佐久間を守りながらゴールを狙うんじゃ、そりゃ大変だったろうなァ？
でもその負担が一気に減ったんだ。嘸かしお前は嬉しかったろうなァ？」
「ち、違う……違うもん、違うっ……」
やめて。やめて。
それ以上、私の心を探らないで。
恥ずかしいとかそう言う、可愛い感情じゃない。
1番知られたくなかった。
知られちゃいけない人に、知られた。
それ以上の感情が湧き上がり、私は必死で否定し続けた。
怖かった。
フドウの言ってる事が全部あってるのが。
怖かった。
これ以上先を言われるのが。
「＿＿＿あの雷門のヤツの足が潰れたのは、お前のせいだ」
「っ……っ……！！？」
でも恐いた、1番言われたくなかった言葉を
よりにもよってフドウに言われてしまった。
肌が粟立つ。ﾌﾞﾂﾌﾞﾂと蕁麻疹のように。
額からは冷たい汗が流れ、私はゆっくりとフドウを見上げた。
「お前が俺との約束を破ったから、アイツはあんなんなっちまったんだよ」
「…………あ………ぁ……」
私のせい。私のせいで、ライモンの人が怪我をした。
その事実が私の中で大きくなって、押し潰されそうになった。
違うのはわかってる。
だってやったのはフドウだもん。
フドウがあの人の足を狙って傷付けたんだもん。
そこに私は関与してない。
でも、でも、もしも。
フドウの言う通り、私がちゃんと点を取っていたら？
私がちゃんと5点取っていたら、フドウはあんな事しなかったのかな？
私がまだ点を取る気でいたら、フドウはあんな事しなかったのかな？
その可能性を考えて、私は頭を抱えた。
そうだとしたら私のせいになる。
私が約束を破ったせい。
私が約束を破ったから、フドウがあんな事をしたんだ。ライモンを傷付けたんだ。
目をそらそうとしていたのに、無理矢理目を合わせられたような。
遂にその場に崩れると、フドウは屈んでそんな私に追い打ちをかけるように耳打ちした。
「もうお前には期待しない。
次からは元の作戦通り、佐久間に打たせる」
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