【イナイレ】シッカーラプンツェル4【不動明王】 (ページ45)

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◇ラプンツェルの光ページ45

ゲンダは悔しそうに地面を拳で叩いているけれど……
私は安心してしまう。

だって本当にゲンダに禁断技を使わせずにゴール奪っちゃったんだもん。本当にライモンは凄いや。

さっきのやつ、事前に話し合ったのかな…？
それとも即興なのかな？

後者だったら本当に凄い…！
考え付いた怖い人も、それに合わせたあの白髪の人も。

これならゲンダの方は安心だ。
あとはサクマにボールが回らないようにすればいい。

フドウには5点取るなんて言ったけれど、それはサクマが傷つかない為だもん。
ゲンダとサクマを守る為にフィールドを行き来してたら1人じゃ守れないと思ってたから。

「(大丈夫、約束は果たせる…2人をちゃんと守れる。守ってくれる。
あとは正々堂々、サッカーすればいいんだ)」

胸の内が一気に軽くなり、私は希望を見出した。

まるで雲の隙間から太陽の光が差し込んで来たみたいに思えた。

「………つまんねーなぁ、なんか」

だけど、この直後に思い知る。

物語の悪者はこういう時、その希望をすぐ奪おうとする事を。

再び空を厚い雲で覆おうとしている事を。

－－－

「もういっちょ行くぜ！」

ゲンダに技を使わせずにシュートする術を掴んだライモンは、再びその作戦を実行しようと開始早々に怖い人にボールを渡した。

私は完全にライモンを信用して、安心してしまっていたから、その時の私はゴール前におらず、サクマのすぐ傍にいた。

怖い人がボールを持って上がって行く。

またあのカッコイイ技を披露してくれるんだと思っていた次の瞬間。
正面からフドウがスライディングして来た。

ただのスライディングなら良かった。
そのままボールが弾かれるだけだから。

でも今のスライディングは私でもわかった。

確実にあの人の足を狙ったスライディングなのだと。

「ぐっ……ああああっ！！」

絶叫。直後にその場に転がり込んで、足を押さえる。

短くホイッスルが鳴り響き、フドウの今のプレイにイエローカードが突き付けられるけれど、まるで知らない顔だ。

うそ……そんな……！

これじゃあ、約束と違うっ……！

「悪い悪い、まさかこんなのも避けられないとはねぇ」

痛みに顔を歪める怖い人を見下ろしながら
フドウは尚も挑発するようにそう言った。

でも怖い人は反論する余裕もないみたい。
よく見たら、蹲る彼の足は赤く腫れて来ていた。