【イナイレ】シッカーラプンツェル4【不動明王】 (ページ41)

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◇ラプンツェルは誘われるページ41

「…っと、お喋りもここまでにしておいて…」

ﾍﾗﾍﾗと笑っていたフドウは、ふとそう言うと
おもむろに私の方を見て「黒井、」と呟いた。

名前を呼ばれ、思わず私は肩を震わせる。
ライモンが来てからまともに名前を呼ばれていない気がしていたから、何だか久々に呼ばれた気がした。

「戻るぞ。そろそろ休憩も終わりだ」

「………」

言われて私は黙って頷くと、そのままゆっくりとフドウの方へ歩みを進めた。

その時に、キドウのすぐ横を通り過ぎようとしたけれど、通り過ぎた瞬間、背後から肩を掴まれた。

思わず声も上げられず、驚いてしまう。

フドウも予想外なのか、目を丸く見張り、私とキドウの方を見遣った。

「……先程のお前の提案は、受け入れられない」

わざわざ肩を掴んで、一体何を言い出すのかと思ったけれど、背後から聞こえた声は律儀な答えだった。

きっとさっきの無茶なお願いの事だ……
そんな引き留めてまで答えなくても、答えなんて分かりきってるのに。

律儀な人だな、なんて思ったけれど
続けられた言葉に、私は自分の耳を疑った。

「＿＿＿だが、お前も雷門の一員になれば、2人を守れる」

「………………え」

……聞き間違い、じゃないのかな。

私は思わず振り返ると、キドウは私の肩から手を下ろす。

真剣な顔をしていた。

ゴーグルの向こうの瞳が、真っ直ぐに私を捉えて離さない。

「お前も佐久間と源田を助けたいんだろう…？
なら、俺達と共に闘おう。そうして2人を止めるんだ」

「……で、も……私は……ライモンに…酷い、事を……」

「大丈夫だ、皆わかってる。
お前だけは他のヤツらと違うとな。

だから皆、歓迎してくれる」

「……………」

……きっと、何も知らない頃の私だったら、嬉し過ぎて卒倒してたかも。

だってあんなに凄いチームの一員として闘えるんだから。
それにサクマとゲンダも守ってくれるって言うんだし、願ったり叶ったりだ。

だけど、この時の私は、もう全部知ってしまったから。

真・帝国学園での生活も、チームメイトも、その努力も。

私がこの日まで頑張って来たかのように
皆だってこの日の為にと必死に頑張って来た。

タカナシも、フドウも、他のメンバーだって。

それに皆、私に色々と教えてくれたし。
その恩を仇で返すような事は……出来ない。

何より私は…………