◇ラプンツェルの異変 ページ35
「はぁ……はぁ…はぁっ……」
突き当たりまで来ると私は1度その場で足を止め、呼吸を整える。
……つい、こんな所来ちゃった。
どうせまた後で顔を合わせるのに。逃げられないのに。
ううん、逃げちゃダメなのに。
でもあんな2人、見たくないの。
元の優しい2人に戻って欲しい。
力を欲し、キドウに勝つ為にあそこまで変わってしまったサクマとゲンダ。
まるで別人のようで、怖くて。
今までの2人がいなくなってしまいそうで。
でも、この試合に勝ったら……2人は、戻ってくれるのかな。
寧ろ、もっと力を欲して今以上に歪んでしまいそうな気がする。
………この試合、このまま勝ってもいいのかな。
これで勝っても、私にとっては何の得も無い。
サクマとゲンダは歪むし、ライモンは傷付くし。
それにフドウだって…………
「はぁ……はァっ……？は、はっ……」
…なんて考えながら、息を整えていたはずなんだけれど。
どうしてか、私の呼吸は変わらず荒いままで、私は動揺してしまう。
いつもならすぐ呼吸が元通りになったのに…
試合で動き過ぎたのかな。
いや、それにしても可笑しい。
どうして
今もちゃんと息を吸って、吐いてるのに。
ちっとも呼吸が整わない。寧ろ、乱れてってる。
それに呼吸をする度に、苦しくなるような気もするの。
自分が呼吸の仕方を忘れていくみたいに、呼吸しづらくなってくの。
これはまるで……そう、まるで……
私が、入院していた時と同じだ。
「(エイリア石……エイリア石はっ……？！)」
どうして、こんな事になってしまっているのか。
まず最初に浮かんだ原因はエイリア石。
もしかしたら私、エイリア石を1つし忘れているのかも。
私の場合、エイリア石が2つ無いともう身体が上手く動かなくなってしまっているから。
だから私はすぐ確認した。
胸元にぶら下げているエイリア石の数を。
でもそこにあったのは確かに2つ。
紫色に怪しく輝く石があった。
なんで……どうして……？
エイリア石はちゃんと2つあるのに。
どうして、こんなに苦しい想いをしなくちゃいけないの？
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