【イナイレ】シッカーラプンツェル4【不動明王】 (ページ25)

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◇ラプンツェルは目の当たりにするページ25

私がぼんやりしていても、時間はきちんと正確に進む。

気付けばそれぞれポジションについていて、遂にライモンとの試合が始まった。

私のポジションは真ん中のDF。

でもいざとなれば、いつでも前に出れるように準備する。

キックオフはこちら側で、ホイッスルが鳴り響くとボールはフドウに渡る。
フドウはサクマと並走し、彼にボールを繋げた。

「佐久間、見せてやれよ！お前の力を！」

「えっ…？！」

サクマはフドウからパスを受けると、そのままボールを足で止めて、向こうのゴールを見据える。

ゴール前にはオレンジのバンダナをした、ライモンのキャプテンが立っていた。

サクマを真っ直ぐに見つめて、真剣な顔でシュートが放たれるのを待っていた。

「＿＿＿うおおぉぉおお！！！」

急に、サクマが目を見開き雄叫びを上げた。

ソレは禁断技を打つ合図でもあった。

キドウはそれを察知したのだろうか。

途端に彼はサクマの元へと駆け出した。

「やめろ、佐久間っ！！」

遅れて私も飛び出した。

まさか、こんなに早く使わせるとは思わなかったから。

でも此処から前線までの距離は遠い。

当たり前だよね。
だって私はDFでサクマはFWだもん。

「それはっ…！」

サクマがその場で指笛を鳴らす。
すると地面から真っ赤なペンギンが5匹、顔を出した。

ペンギンはそのまま勢い良く飛び出して、空を滑空。
そうして片足を上げたサクマの元に戻って来ると
その上がった足に噛み付いた。

「＿＿＿禁断の技だっ！！」

『皇帝ペンギンっ…1号！！』

キドウの止める声は届かず、私の足も追いつかないで。
サクマはやや言葉を詰まらせながら、ソレを放った。

話で何度も聞いた通り…いやその予想を遥かに超えた威力だった。

最早〝凶器〟と化したボール。
あんなの当たったら痛いなんてものじゃない。

それでもゴール前の彼は逃げなかった。

『ゴットハンド！！』

テレビでも見た、あの必殺技を彼は発動させる。

でも日本一のキーパーでも、禁断技の威力には適わなかった。

ボールは彼ごとゴールに突っ込み、短いホイッスルが鳴り響く。

得点板には0-1。
私達の方に点が入った事が示されたけれど、喜びなんか無く、あるのはサクマの悶える声と苦痛の表情。

「うぁああ…っぐ…」

「ハハッ！！素晴らしい！！」

その場に膝をつき、自分の身体を押さえながら悶えるサクマ。

そんな彼をよそに、フドウは今までに無い感嘆の声を上げた。