◇ラプンツェルは求める ページ20
「俺は今までサッカーを楽しめばいいと思ってきた。勝ち負けはその結果だって。……だけど、今日は違う。
お前達の間違いを気付かせる為には闘って…絶対に勝ってみせる！
見せてやるよ！本当の俺達のサッカーを！」
背中を向けていた彼は、こちらに身体を向けると堂々とそう宣言した。
その真っ直ぐな瞳に、まるで勇者のような言葉。
私は素直に『カッコイイ』と思えた。
だって、そんな真っ直ぐな人、この潜水艦内にはいなかったから。
「今度はお前が敗北の屈辱を味わう事になる……」
でもフドウ達はそんな彼の宣言を鼻で笑う。嘲笑う。
そうして踵を返すと、3人は此処から去ろうとしていた。
だけど不意に、サクマは立ち止まり、振り返る。
そうして口元に薄い笑みを浮かべるとサクマは言った。
「＿＿＿俺達には�猗觝��瓩�あるのさ」
「…！」
「おぉっと！それまで。
敵に情報教えちゃダメだぜ？」
それ以上はフドウがわざとらしく口止めしたけど
絶対�犇愧乃鮫瓩了�だろう。
本当に2人は禁断技を使うつもりなんだ……
3回打ってはいけない技を。
サクマは再び前を向き、3人はそのままその場を後にする。
だけどふと、フドウは立ち止まると振り返ってその場に留まったままの私を見遣った。
「……おい、何してる？さっさと行くぞ、ノロマ」
「……」
私は持っていた帽子を思わずｷﾞｭｯと強く握り締める。
言いたい事が、沢山ある。
でも沢山あり過ぎて、何をどう言えばいいのかわからない。
サクマとゲンダを守りたい。
それでキドウとも仲直りしてもらいたい。
無理なのはわかってる。
そんな夢物語、今の状況じゃ有り得ないよね。
ならせめて、ライモンの人に言っておかなきゃ、禁断技の事。
多分、知らないと思うから。
2回以上打たせないでって。協力してもらわないと。
私1人で守るのにも限界があると思うから。
「……ぁ……」
「…おい、聞いてるのか？早くしろ」
フドウの声が1トーン低くなる。
思わず私の肩が震えた。
マズイ…明らかに機嫌が悪くなってる。
私は落としていた顔を上げ、弾かれたようにキドウの方へ駆け寄った。
キドウの腕を掴み、頭の中で伝えたい事を考える。
そうして私は口を開くと、一呼吸で一気に告げた。
「＿＿＿たすけて。
サクマとゲンダを守るの、手伝って！」
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