◇ラプンツェルは見たくなかった ページ16
「……何故だ。……何故だ？！
何故お前達がアイツに従う？！」
ソウスイがいなくなった途端、キドウは2人に問い掛ける。
その問いは私が知りたかった事でもあった。
対してサクマとゲンダは嘲笑うかのようにキドウを見遣る。
そんな2人も見た事がなかった。
どんどん私の中の、優しい2人が崩れて行く。
これ以上、2人が酷い事を言うのを見たくなかったけれど、私自身は崩れる2人を見るのを止めれなかった。
「……強さだよ」
「強さ……？強さだけを求めた結果があの影山のチームじゃなかったのかよ！？」
「俺達はそこから新たな1歩を踏み出したはずだろう…？」
短く答えるゲンダに、キドウは更に問い掛ける。
この人達はソウスイと前に何かあったみたい。
そうして1度、あのソウスイから離れたみたい。
でも再びサクマとゲンダはソウスイ側についてしまった。
ソレがキドウ達には理解出来ていないみたい。
「俺達を見捨てて雷門に行ったお前に何がわかる？」
「ちっ…違う！お前達を見捨てたワケじゃない！
…俺は、自分が許せなかった。
チームメイトを助けられなかって自分が……だからっ！」
「綺麗事を言うなっ！」
突然、ゲンダが声を上げた。
私は思わず肩を震わせる。
ゲンダは今までに無い剣幕で、捲し立てるように続けた。
「あのゼウスに勝ちたかっただけだろ？」
「っ……」
「お前が欲しかったのも�犇�さ�瓩澄�」
その言葉にキドウは言葉を返さなかった。
ただ悔しそうに歯を食い縛って、悲痛な表情を浮かべる。
だがすぐに顔を上げると、キドウは2人を見遣り訴えた。
「……その為に、あの影山についてもいいのか？！
影山が何をやったのか覚えているだろう？！」
…ソウスイって、やっぱり怖い人なんだ。
何となく、あの嫌な感じからまともな人ではないだろうなって思ってたけれど……
サクマとゲンダの話では、いつもは冷静なはずのキドウ。
でもこの時ばかりは動揺を隠せず、彼はついに2人に歩み寄った。
「源田、俺達と一緒に来いっ…！
…なぁ、佐久間も一緒に…」
とにかく2人にはこれ以上、ソウスイの元にいてほしくなかったんだろう。
どうにか歪んだ2人を正気に戻そうとしたんだろう。
キドウはゲンダに、そして次にサクマにそう訴え
おもむろに、サクマの肩に手を置こうとした。
だがその瞬間、乾いた音がフィールドに響き渡った。
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