・ ページ38
.
「それは良かったね、ありがとうはちゃんと言えた？」
「うん！ちゃんと頭もありがとうした！」
そう言ってお辞儀も見せてくれた。
「すごいじゃん！えらいねぇ」
「えらいぞぉ、茜。炒めるの変わるよ」
通りがかりのパパに褒められ頭も撫でられて、茜は満足そうに笑う。
「ありがとう」
彰さんにフライパンを変わってもらって、お味噌汁の具材を切る。
「僕おはし並べる！」
見ていたテレビが終わったのか、巽がお手伝いを申し出ると、茜も負けじとやると言い出した。
「茜もやる！」
「じゃあ2組ずつお願いできるかな？」
2人の目としっかり目を合わせると、納得したようで元気な返事をして、ふたりでお箸を並べ出した。
〜
仕事の疲れからソファでうとうとしていると、リビングのドアが開く音で我に返った。
「2人ともちゃんと寝たよ」
「お風呂、入れてくれてありがとう。寝かしつけも…助かりました」
「これくらい当然だよ。僕は父親だから」
彰さんは私の隣に座って微笑んだ。
「すごく頼もしいです…」
「これで不器用は卒業できたかな？」
「ち、ちが！私そういう嫌味な意味で言ったんじゃなくて！！」
だいぶ昔に言ったこと、まだ覚えていたんだという思いと同時に、気にしていたのかな、嫌な思いしてたのかなと少し申し訳なくなった。
「知ってるよ。いじわる言ってみただけ笑」
「…彰さんって、あったかいんです。静かなところがあるし、他の人から見たら寡黙で何を考えてるか分からないかもしれないけれど、そういうところが好きで一緒にいるの」
そう言うと彰さんは少し目を丸くして、それから目を細めて笑う。
「困ったなぁ、また結婚したくなっちゃう」
「ふふ、じゃあ一度別れなきゃ…」
「それなら遠慮しとこうかな」
彰さんは私のおでこにキスを落とす。
「眠たいんでしょ？寝ときな。10時半からだっけ。9時に起こすから」
「いいんですか？彰さんも早く寝た方が…」
「大丈夫、ね？」
「ありがとうございます…じゃあお言葉に甘えて」
「うん」
ソファに寝転がり、目を閉じると頭に手のひらの心地いい重みを感じる。頭、撫でられてるな。
温かい人の温もりを感じながら、意識を手放していった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 756人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
poco(プロフ) - 嬉しいです🥹待ってます😆 (1月10日 1時) (
レス) id: 7086e430c4 (このIDを非表示/違反報告)
藤野(プロフ) - pocoさん» ありがとうございます！深夜のテンションで書ききっていたので不安だったので嬉しいです笑 続きができたらまた投稿しますね😚 (1月10日 1時) (レス) id: 4ec9f1e3da (このIDを非表示/違反報告)
藤野(プロフ) - ももさん» コメントとリクエストありがとうございます☺️子育てのお話は少し時間がかかるかもしれませんが、書かせていただきますので少しお時間いただけたら幸いです！ (1月10日 1時) (レス) id: 4ec9f1e3da (このIDを非表示/違反報告)
poco(プロフ) - ラジオでの惚気ネタめちゃくちゃ面白いです！続きもぜひ見てみたいです！ (1月10日 1時) (レス) @page40 id: 7086e430c4 (このIDを非表示/違反報告)
もも - お子さんとのお話とっても好きです！もし宜しければまた続きがあると良いなぁと思っています……！🥺✨ (1月8日 22時) (レス) @page7 id: aa51dc45d1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藤野 | 作成日時：2023年9月4日 2時
