trick or…… 6 ページ46
窓から入り込んだ秋の風に、レースのカーテンが舞い上がる。
三成の真っ白な顔に当たった月光が反射して、まるで彼自身が光を放っているようで、こんな状況でも美しかった。
「は、ぁ……、三、成…もう、いいでしょ……?」
「……………」
いつもの少食すぎる彼のことを思えば、もう食事なら充分な筈だ。
だからもうやめて、と、請うように三成の顔を見上げる。
彼は何も言わなかったが、見せつけるようにその牙の先に付着した赤黒い液体を舌先で舐め上げ……、そして、背筋が粟立つような色気のある笑みを浮かべた。
月を背負ってそうして笑むその姿は、さっき以上に吸血鬼然としていて、柄にもなくゾクゾクと、被虐心が背筋を抜けていく。
…まだ、私が許されることはないのだろうか。
「みつ、な……」
「随分といい声で啼くんだな?貴様にもそのようにしおらしい面があったのか」
「………っ」
今の三成は、完全に本能に呑まれて我を失っているらしい。
その証拠に、彼は私の言う方に耳を持たず…そればかりか、突然こちらの足を引っ掛けて、後ろにあったベッドへと押し倒した。
ぼふ、と大きな音をたててベッドの上に倒れ込んだ私を、三成はすぐさま追いかけて抑えつける。
…いつもなら萌える状況なのかもしれないが、今はそんな場合じゃない。
手首に跡が残りそうなほど、彼の細い指が喰い込む。
けして逃すまいという拘束は強くて、暴れてなんとかなるわけないけど、それでもなんとかやめてもらわないと……アレは、やばい。
「やだ……もう無理…っ、やめて、三成……」
「…珍しく私は腹が減っている」
「やだぁ……っ」
三成が、また首筋に牙を突き立てようと私の上半身を少し持ち上げた。
尖らせた舌先が、ノックでもするように先程の吸血の跡をゆっくりと擽っていく。
牙の先が肌に触れると、自然と身体がびく、と強張った。
「ゃ、めて…三成……お願い……」
「拒否する。…もっと、寄越せ……、私に全てを捧げろ」
「…ぁ……」
三成の掠れた声が、鼓膜を優しく揺らし、聴神経から入り込んで、脳を侵していく。
状況のせいか願望か、その声はやけに甘く聞こえた。
…流されてしまいそうだから、嫌だったのに。
私の腕はまるで操られるように上に上がり、彼の背中にまた腕を回そうと……
「破廉恥でござ…むぐっ!」
「「っ!!」」
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光華(プロフ) - 銀魂の土方十四郎で激裏お願いしても良いですか? (2019年11月24日 21時) (レス) id: 9f1b40bb10 (このIDを非表示/違反報告)
ノワブラ-α(プロフ) - 幽遊白書の幽助の激裏お願いしますね (2018年9月1日 14時) (レス) id: cf6ea17fd6 (このIDを非表示/違反報告)
サーシャ - 智美さん» 完成しました! お待たせして申し訳ありません…犬夜叉、るーみっくは大好きです!! (2018年6月3日 17時) (レス) id: 2ec897ff99 (このIDを非表示/違反報告)
nebula - 調べたらすぐでます〜 (2018年2月6日 2時) (レス) id: 4fd0305776 (このIDを非表示/違反報告)
nebula - あ、言い忘れていましたが妖怪です (2018年2月6日 2時) (レス) id: 4fd0305776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サーシャ | 作成日時:2017年1月22日 10時