小さな危機の話 3 ページ19
「…ユリア様」
「ア、アレン……」
廊下の向こうから、彼はこちらに歩いてくる。
…相変わらず、綺麗な金髪だ。
我が国ルシフェニアは、『黄ノ国』と呼ばれている通り金髪の人間が多くはあるが、城中、いや街中、いっそ国中を探しても、彼ほど綺麗な金髪を持つ者は十人もいないのではないだろうか、とすら思う。
少しは惚れた贔屓目もあるかもしれないが、先程まで共にいたリリアンヌにも引けをとらないだろう。
彼女もまた、少女でありながらも完璧な美貌を持ち合わせている。
…彼、アレンは、何やら粗末な造りの鞄を下げていた。
中身は空のようだし、これから街にでも行くのだろうか?
「…こ、こんにちは、アレン。
今日はこれから、街へお出掛け?夕食の買い出しかしら?」
「あ…いいえ、少し私用でエルフェゴートに」
「そ、そう…エルフェゴートに、ね…行ってらっしゃい、気を付けて」
「はい」
…彼は、恭しく私に一礼すると、横を通り抜けて逆方向に向かっていった。
彼は真面目な性格だから、このように人の目があるかもしれない場面ではあくまで召使と王女として接してくる。
…エルフェゴート。
リリアンヌが言っていたとおりだ。
まさか…ね。
…私は彼の後ろ姿をじっと盗み見た。
…綺麗な金髪…それは、彼の父と母から受け継いだものだ。
そしてその父と母は、私のお義父様とお義母様でもある。
…彼の本名は、アレン=アヴァドニアではない。
「…まさか…あの子に限って」
…そう口にしながら、私は不安の中で、彼……
ルシフェニア第一皇子、アレクシル=ルシフェン=ドートゥリシュの後ろ姿を、見えなくなるまで見送るしかできなかった。
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光華(プロフ) - 銀魂の土方十四郎で激裏お願いしても良いですか? (2019年11月24日 21時) (レス) id: 9f1b40bb10 (このIDを非表示/違反報告)
ノワブラ-α(プロフ) - 幽遊白書の幽助の激裏お願いしますね (2018年9月1日 14時) (レス) id: cf6ea17fd6 (このIDを非表示/違反報告)
サーシャ - 智美さん» 完成しました! お待たせして申し訳ありません…犬夜叉、るーみっくは大好きです!! (2018年6月3日 17時) (レス) id: 2ec897ff99 (このIDを非表示/違反報告)
nebula - 調べたらすぐでます〜 (2018年2月6日 2時) (レス) id: 4fd0305776 (このIDを非表示/違反報告)
nebula - あ、言い忘れていましたが妖怪です (2018年2月6日 2時) (レス) id: 4fd0305776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サーシャ | 作成日時:2017年1月22日 10時