残念なガキ(３) ページ12
「なぁ！なぁ！師匠！！」
その脅えたような声で目覚めた。
ベッドに横たわったまま顔を向ける。
私は目を見開いた。
サーティーンに、黒い……羽根？
なんだ、この感覚。
何か起きそうな、不吉な予感。
神経がピリピリと疼く。
ダメだ、これはダメだ。
「サーティーン、記憶、あるか？」
それは決して、思い当たるふしがある。
とか、そういうことを聞いているのではない。
脳内の記憶の話だ。
サーティーンは頷いた。
けど、震えている。
私の記憶が甦る。
この光景は、サーティーンが堕天した日見た。
羽根を抉る前に、黒く染まっていく。
堕天使となる前兆なのだ。
羽根を引き裂かれるのは苦しいと聞いている。
が、弟子となる彼の顔を見るのは私も苦しい。
苦しかった……今もその苦しさがある。
私は、サーティーンを抱き寄せた。
「大丈夫だ……私がついている」
サーティーンの羽根に手を当てた。
痛いと私に力を込める彼。
見ているのは、やはり辛い。
だから、だから少しでも＿＿
「し、しょう……？なにやって＿＿んむｯ」
接吻は、愛を与える。
愛は痛みを和らげる。
少しでも……少しでもいい。
苦しさを私に分けてもらえれば。
「ｯ……！」
多少だが、天使の血が口の中に混じった。
サーティーンの血なら、遠慮ない。
弟子が……愛する人が苦しむのはゴメンだ。
「うｯぁあっ……いた、い痛い痛い痛い……ｯ」
羽根が抜け落ちて、とうとう根が抉れた。
よく頑張った、そう言ってまた抱き締める。
私の手には赤黒い痣が残った。
だが、サーティーンの背中にはもっと深い傷。
ココロにも残ってしまうのだろう。
「師匠……おれ、俺……」
泣いていた。いつもの彼は泣いていた。
餓鬼のくせに耐えたんだ。
よくやったよ、お前は。
「ん……頑張ったご褒美だ、サーティーン」
そう言ってもう一度だけキスを落とした。
傷口は、私が後で手当てした。
私の痣はじきに消えた。
「サーティーン、愛してる……」
彼が眠ってから呟いた。
さよならとは知らずに＿＿
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椿＠コンパス民(プロフ) - ありがとうございます！！見てくださって感想まで…本当にありがとうございます！！ (2020年4月19日 23時) (
レス) id: 36365ee645 (このIDを非表示/違反報告)
無花果(アル,スト,刀剣,第五,ヒプ好き,��)(プロフ) - 続編まで続いていらっしゃいましたので此方に書かせていただきます…どういう出会いがあったのか、どういう理由で人物が行動を起こしたのか等が本当に分かりやすくてとても好きです…!!更新頑張ってください、応援しています!!参加ありがとうございました!! (2020年4月18日 19時) (レス) id: 0e478908d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆しゃくしゃしゃん☆ | 作成日時：2020年4月15日 15時
