死神の師匠が来た (ページ16)

今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:17,651 hit

サーティーンsaid ページ16

～サーティーンsaid～
「サーティーン…居るのか？」

久々にAの声がドア越しにした。
その声は、悲しそうな透き通った声だった。
俺は、あえて誰が来たのか知らないフリをして、ドアを開ける。鍵は、勿論掛けていない。

「…んだよ。って、Aか……」

俺は、少しだけ立ち止まってしまった。
こんなこと、滅多にないからな(笑)
それから、俺は快く部屋に入れた。
部屋はごちゃごちゃだ。
来客が来るなんてのは知らなかったからなァ…
(まぁ、いつもこんなんだが…笑)

「にしても、俺チャンの部屋に来るなんて、Aにしては珍しいよなァ～」
俺は、からかうように言ったが、相手はそんな乗り気ではないらしい。
俺は、コーラを冷蔵庫から出すと、Aの隣に座った。
「何かあったのか」
そう、軽くだが問い掛けた。
Aは、俺に苦笑いを見せてこう答えたんだ。
「ヴィオの話を聞いて、少し寂しくなった。だけ……」
幼児返りまでとは言わなくとも、
これは、少し甘えたい気分なんだろう。
師匠だからこそ、俺だけが分かる。
きっと、ここの奴らに影響されてだろうな。
「A、大丈夫か？」

「ふふっ……こんな師匠、情けないだろ？」

「俺は好きだぜ。そういうとこも含めて」

「ｸｽﾂ……お前は、昔からブレないな」

Aが俺に寄っ掛かると、
部屋の窓から夕日が注した。
俺は、本当に幸せな死神だなァ……
好きな奴に、また会えて頼られる。

「また会えて良かったぜ。A……」

「あぁ、私も安心した。お前の顔見たときからだが……笑」

『好きだぜ』という本当の意味は、
師弟関係では、一生通じないのだろうか？

ずっと、このままで満足出来るのだろうか。
俺は。
俺は、いつか
……Aを傷付けてしまうのではないか？

そう思うと、俺の方が恐くなった。
寂しさが痛いほど浮かび上がった。
離したくねェな……誰にも、渡したくねェ。

Aは、どうなんだろうか……