死神の師匠が来た (ページ11)

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歓迎の宴《前半》ページ11

正式にヒーローとして迎えられたその晩。
私は、他のヒーローとも顔合わせをした。
やはり、思った通りの珍品揃い。
人と人ならざる者が交じりあう。
私の宴だが、宴自体あまり得意ではない。
「Aさん？体調が悪いのですか？」
一人の金髪の少女が声をかけてきた。
確か、名前はジャンヌだ。
噂で一度耳にしたことがある。
もう随分と昔の話だが、神の信仰心がどうとかで、魔女狩にあった聖女だったか。
……今は、特にどうでもいいが。
「あぁ、大丈夫だ。ただ、今日来たばかりで、少し環境に慣れていないだけだと思う……」
少し風に当たってくる。
そう言って、その宴から外れた。
共有スペースのリビングから出た。
ベランダに出ると、涼し気な空気が漂って来た。
辺りは、当然静かだった。
夜の匂いが雅に思えてくる。
父から、仕事は上級班に任せたと報告があった。
「やはり、貴様では馴染みづらいか？」
ベランダに一人入ってきた。男か。
来たのを確認するように、一瞬目を合わせた。
「まぁ、そのうち慣れるんだろうけどね」
そう言って、少しため息をついた。
男の名前は、桜華忠臣。
服装からして、立派な軍人様だ。
アイツは、この上から目線が嫌いらしい。
私は、特に何も思わないが。
「……Aと言ったか……」
隣で壁に寄っ掛かり、話し始めた。
そして、意味が分からない質問を問われた。

「月を好いておるか……？」