Orange Lily___ 3

＊ ページ37

《ar side》


「山田！
お願いだから、もうやめて！」


　


　


俺が何度も声を張り上げても、
お前の耳には届かない。



　


もう、知念を連れ去ろうとした奴らは

動けないくらいに、
血だらけで
ボロボロで、

地面にぐったりしている。



　


それなのに、山田は

未だに、
奴らに蹴りやパンチを入れ続けている。




　

　


止まることのない、山田。




　
　





俺は、無力だ。



山田の暴走を、
止めるのが俺の役割なのに。




　




　


それが、
俺の存在意義なのに。






　




何も出来なかった。







　




自分の不甲斐なさに、

苛立ちを覚え
知らぬ間に拳をぷるぷると握りつぶしていた。




　




相手を痛めつけることを止めない山田。





　





こんなの、山田じゃない。


山田も、
こんなことがしたいわけじゃないだろ？






　

　




殴り続けている山田に向かって、
俺は駆けだした。



　



　




後ろから、山田に抱きつく。

　




絶対、離さない。

お前をもう、暴走させたくない。


　


　



「もう、やめてくれ！

大丈夫だから！」




　




山「離せ、大ちゃん！
まだ、やることがある！」




　





血走っている山田の瞳。



　



まだ、冷静さを欠いていて

俺から離れようと
ジタバタ暴れている。



　



俺は、
抱きしめる力を更に強める。





　


　


「いつもの
優しい山田に戻ってくれ……！」





　
　






頼むよ、山田。

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