Orange Lily___ 3

＊ ページ29

《cn side》


あの後は、
珍しくわんわん泣いて、

ハウスの皆に頭なでられたり、
抱きつかれたり

やられ放題だった雄也。



　
　
　


本当に、
年上なのに可愛いね(笑)



　


　

　

そして

少し雄也が落ち着いた頃、
また話し出してくれた。



　

　
　
　


高「……実は、

長濱と会ったとき、
気になること言ってた。」


　

　




ん？
まぁた、何か話すことあるの？


あんまし、隠し事しないでよね！




はやく、教えて。


　




　


高「全ては、
クロユリ様のためだって。」



　

　




伊「………。」


　


　




心なしか、

いのちゃんがふにゃっと、
表情を和らげた気がした。


　
　
　


　



薮「初めて聞く名前だな。」



　
　
　




中「クロユリってやつが、
Lilyのボスなのかもね。」


　

　
　





「誰がボスなんだか知らないけど、
もう１人で外出るのやめよ？

みんな、
なるべくまとまって
行動するようにしよ。」

　


　




岡「夜遅くに、出歩くのも危険だね。」


　

　


　


じゃあ、
家の方向が同じ者同士で
さっさと今晩は帰るぞー！って

ゾロゾロと帰る支度をし始める皆。

　

　
　
　




より一層、

Lilyへの憎悪が強くなったけど、


その分
ハウスの団結も深まった。



　


　



僕たちは、

いつか
Lilyと、決着をつけないといけない。


　

　


　


こんなにも、
メンバーが苦しめられているんだ。

　




　
　
　


僕も、帰る支度が終わって


さ、帰るよって
隣にいる大貴に声をかけても、

反応がないから
顔を覗いてみる。



　





有「…ゆっ…くり………」




　
　
　




微かな小さい声で
そう呟いている大貴。



　


ん？
なんて言った？




　


　



「大貴？どしたの？？」







　



有「…あ！いや、なんでもない。

帰るか！」




　
　




パッと笑顔を見せて、
派手なリュックを背負う大貴。


　

　




なに？

ゆっくり？





　




僕には、大貴がなにを言っていたのか
さっぱりだったけど、


　

　



　


こっそり聞いていたアイツは、
なんのことだか、
よくわかっていたみたい。



　


　
　




悔しい。


　
　
　
　
　
　
　


今、気づいておけば。




　
　




　

　


あんなこと、起きなかったのに。

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