19.泣き虫とトラウマ ページ19
のんちゃんと手を繋いでお家に入れば、上の階からは結構なボリュームの泣き声が聞こえてくる。
びっくりした顔で私の手を引いたのんちゃんを抱え、声がする二階へと急げば、私の部屋の前には大泣きしながらしゃがみ込んでいるともくんと、その側であたふたと慌てた様子の重岡くんがいて。
『ともくん』
「！」
ボロボロと大粒の涙を溢すともくんと目があったかと思えば、次の瞬間には、突如飛び出してきた彼が私にぎゅうと抱き着く。
ひとまずのんちゃんを重岡くんに引き渡して、先におやつでも食べておいでとリビングへ行っていてもらう。
『…どうしたの？』
二人がいなくなったのを確認して、ぷにぷにとほっぺたを押しながら聞いてみる。
彼は声を上ずらせながら、頑張って自分の気持ちを言葉にしようとしてくれて。
「なっ、で起きた時おらんかった…の…ッ」
一言目にはそんなことを言う。
『のんちゃんのお迎え行ってたの』
「なん…で、とも、置いていってんっ！」
今度はぽこすかと胸元を叩かれた。
その力は然程強くなかったけれど、彼の口から発される言葉は間違いなく彼の本音で。……きっと、誰かに置いて行かれる事がトラウマなんだろう。
抱き締めたまま頭を撫でれば、嗚咽が聞こえてきて。
『…ごめんね、寂しかったね』
結構な熱だったから、寝られるうちに沢山寝ておいて欲しかったんだけども。…彼からすれば、勇気を出して甘えた相手に置いて行かれたように感じたらしい。
申し訳ないことをしたな心底と反省しつつ、どう泣きやますかとぐるぐる考える。
『…ねぇともくん、一緒にお料理してみない？』
「おりょーり…？」
『うん、そろそろ夜ご飯の準備しなきゃなんだけど、一人で八人分のご飯作るのしんどいなって…だめ？』
チラリとともくんの顔を覗けば、少し悩んだ様子。
『マスクしてくれればいいよ』
「…やってみる！」
お洋服で目元の水滴を拭い、ぱぁと笑顔を浮かべるともくん。
その手を繋いで下に戻れば、それはもうソワソワした様子の重岡くんとのんちゃんが待っていて、大丈夫だよと声を掛ければ、二人同時にほっと顔をした。
折角だから二人にも手伝って貰うことにして、三人には先に手を洗ってきてもらう。
子どもたちでも届くようにと、キッチンの床に台座を並べて、その目の前には海苔とキッチンばさみを置いて……
『ともくんの体調も万全ではないし……今日はおうどんかなぁ』
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繕*(プロフ) - ユイさん» コメント有難う御座います！楽しんで頂けて嬉しい限りです…！おかんとの関係が今後どうなっていくのか…続編にて色々変化する予定ですのでまだまだお付き合い頂ければ幸いです！笑 お気遣い有難う御座います。のんびりですが更新頑張ります！ (2020年9月2日 22時) (
レス) id: 22ad2b6ffc (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 更新お疲れ様です！そしてありがとうございます！どの話もみんな可愛くて、読むのがすっごく楽しいです！！これからおかんとまわりの関係がどうなってくのか、楽しみにしてます！お体に気をつけてお過ごしください！ (2020年9月1日 23時) (レス) id: 34fe05cf6c (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - ゆきんこさん» コメント有難うございます…！癒やされて頂けているようで作者として嬉しい限りです……！不定期更新ですが、今後もお付き合い頂ければ幸いです！笑 (2020年9月1日 13時) (レス) id: 22ad2b6ffc (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 最近westさんにはまったのですが、みなさんのかわいさに癒されまくってて、大好きなお話です！更新楽しみにしてます！ (2020年8月31日 22時) (レス) id: fb97b3b986 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - たぁ。さん» コメント有難う御座います〜！お返事遅くなってしまい申し訳ありません…！見ての通りののんびり更新ですが、癒やされて頂ければ幸いです〜！笑 (2020年8月31日 22時) (レス) id: 22ad2b6ffc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：繕 | 作成日時：2020年3月23日 15時
