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夏祭りのあと、長期合宿があった俺はAちゃんと会うことはなかった。
それでも連絡は取り合っていたし、何より、肩書きだけにしろ彼女は俺の恋人になったから安心していたのが事実だ。
夏休みが終わって初めて、恋人として俺はAちゃんと会えた。あの時と同じ食堂で。
今度は彼女が先に声を掛けてくれた。侑と名前を呼んで。
「なんや久しぶりやねぇ」
「合宿あったし。落ち着いたらデート行こな」
「もちろん」
「は、待って。星奈先輩ツムと付き合うてるん?」
「せや。やから手ぇ出すなよ、サム」
「星奈先輩、俺にせぇへん?俺のが優しいで?こいつ人格ポンコツやで?そのうち豚とか言われんで?」
普段より饒舌な片割れはさておき、Aちゃんは目に見えるほど頑張ってくれていた。
俺を好きになろうと努力していた。努力して好きになられても困るのだが、それでも俺は嬉しかった。
「うっわ、ニヤニヤしとるし。ほんまきっしょい」
「嫉妬とは醜いなぁ、サム!!」
「先輩の前で騒ぐなや。小学生か思われんぞ」
「エッ!?」
「思わんから安心しぃ」
女神の様な美しい微笑みだったはずなのに、俺には濁って見えたのは幻覚か何かだろうか。
否、あながち間違いではないのかもしれない。
きっと、そうさせてしまっているのは俺で。
彼女が哀しく北さんを慕っていたのなら、そんな顔をしていなかったと思う。
「Aちゃん、ごめんなぁ」
「?いつかはバレるくない?」
「ふふ。……そうやなぁ」
お互い、ほんまに滑稽やわ。
アホくさくて、そんでもって愛おしゅうてしゃーないわ。
「(きっと、
せめて、あなたが俺の前から消えてしまうまで。
それまでで十分だと言えるように準備しなければいけない。
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作者名:13.m | 作成日時:2020年5月20日 19時