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それ以降、俺は一切口を開かなかった。
姉が帰宅したらちゃんと謝れと念押しされる。
明日は幸い休みで、リビングで姉を待つようにも言われた。


不服でしかなかった。
ただ、治も居たからまだマシだった。

俺が風呂から上がった時、姉は帰宅した。
姉と鉢合わせるのが嫌で脱衣所にこもった。リビングに入るのを確認してから、そこを出てリビングに続く扉の前へ。
昨日、あれだけのことを言ってしまったのでさすがに顔を見れない。







「姉ちゃんおかえりぃ」

「ただいまぁ。あれ、治くんひとり?侑くんは?」

「風呂」

「ふーん。あ、ケーキ買ってきたから後で侑くんと食べ」

「え、ほんま!?」

「今日大会行かれへんかったし」

「……ツムに言われたことなんか気にせんでええやん」

「気にするよ。…………私はいつでも2人を優先してるつもりやねんけどね。伝わらんもんやなぁ」






嘘をつくなと言ってやりたかった。
それが出来なかったのは、姉の顔が悲哀で満ちていたから。






「ごめん、姉ちゃん。俺もツムと同じこと思ってた。……俺らのことちゃんと分かっててやって。姉ちゃんに甘えすぎやわ」

「甘えてくれていいんよ。私にとって一番大事なんは2人やから」





姉に怒られたことは一度も無い。
俺らが悪いことをしても、いつも庇ってくれていた。
姉ちゃんに被害を及ぼしても、笑って許してくれた。

今ではそれさえも俺には不愉快だった。


気付けば扉を開けてリビングに居た。





「あ、侑くん。ただいま。ケーキ買ってきたから治くんと半分こしぃな」

「……」

「おいツム。黙ってんと姉ちゃんに謝れや」

「いいんよ、謝らんで」





動かない俺を姉は抱き締めた。
突き放してやろうと思ったが、回された腕の細さや身体の薄さを感じ、押しては折れてしまう気がした。





「高校の試合は見に行くから。毎回は無理やけど、()っきい大会は見に行く。やから、……仲直りしよ?侑くんとも治くんとも喧嘩したないよ」




姉の声が震えていた。
だから俺もすんなり謝れた。


ただ、姉を傷付けたという自覚は生まれなかった。

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宮瀬(プロフ) - 非常にすきです (3月14日 7時) (レス) @page41 id: 1103f6dc65 (このIDを非表示/違反報告)
aikarino(プロフ) - すてき (9月20日 0時) (レス) @page41 id: 6a0c38d02f (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 素敵な姉弟愛の物語で、とても感動しました。お姉さんもツインズも、お互いのことが大切なのがひしひしと伝わってきて、泣きそうになりました。色々な愛の形をこの作品で感じられて、胸が温かくなりました。素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (9月17日 23時) (レス) @page42 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
えるるるる(プロフ) - めちゃくちゃ読みやすい…!綺麗なお話だ…すごくすき… (2022年6月23日 20時) (レス) @page42 id: 80c508f955 (このIDを非表示/違反報告)
すー - フィクションなのは分かってるんですけど侑くんの言葉の一つ一つやいろんなシーンに感動して泣いてます…。素敵な作品ありがとうございます…!ホントにずっと涙が止まりません…。深夜にボロボロ泣いてる私って…笑これからも頑張ってください! (2021年7月29日 1時) (レス) id: 4912493c11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:13.m | 作成日時:2020年4月16日 10時

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