みやのねえちゃん【宮侑】【宮治】

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まさか、姉に一目惚れする人間が現れるとは。
確かに容姿端麗な姉は一目惚れされやすいが、まさか飛雄くんが姉に好意を抱くなんて。

こんなことになるなら姉に迎えに来てもらうべきではなかった。
だが幸い、姉も飛雄くんもそういった方面でポンコツなのでそれ(、、)に気付いていない様子。


姉に幸せになって欲しいと思っていたところだが、実際そうなると困る。非常に困る。






「初めて会う人やから緊張しとるんちゃう？ほら、姉ちゃん可愛いし。キラキラも髪の毛が日にあってそう見えるだけやって」

「？……確かにそうかもしれないですね」

「(飛雄くんがアホでよかったわほんま……!!)」

「あともう一つAさんに聞きたいんですけど」

「なに？」

「おりこうさんってどういう意味ですか？」

「侑くんに言われたん？」

「はい。プレーがおりこうさんだって」






姉からの視線に背筋を伸ばす。
まるで北さんを相手にしているような感覚だ。

侑くんと呼ぶ声はいつもより低い。







「ナンデショウ」

「ユース合宿にまで行って他所の子いじめへんの。しかも年下に……北くんに言うとくからね」

「まっ、姉ちゃんそれだけは……!!」

「侑くんが悪い。影山くんごめんな？この子が言うたことあんま気にせんといて。私はあんまりバレー詳しくないけど、影山くんのしたいプレーをしたらええと思うよ。影山くんポジションは？」

「セッターです」

「セッターか。なら、スパイカーが打ちやすいトスをあげることが一番やと思うよ。って、私なんかが偉そうにごめんな」

「いえ、ありがとうございます」






帰った後に待ち受ける北さんの説教に怯えながら、俺たちは仲良く駅へ。


今思えば、姉が運命の人と出会う代償に俺が怒られるなら安いものだ。
なんて、この時の俺はその先の未来を知る由もなかったのだが。

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