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使命感 ページ13

「Aちゃん。この子が侑で、この子が治。あなたは2人のお姉ちゃんなんよ」

「おねえちゃん……」





私よりも少しだけ小さい手は、私の指を握って楽しそうに笑っていた。


ただ漠然と、この子たちは私が守らなければならないという使命感を憶えた。


弟という続柄にあたる2つの尊い命は私の宝物だった。

お姉ちゃんと私を呼ぶ彼らは誰よりも可愛くて愛おしくて。歳の近い兄弟ほど仲が悪いなんてことを聴いていたが、私と彼らは仲が良かった。それが私の自慢でもあった。


私とひとつしか年の変わらない彼らは私と同じぐらいのスピードで成長し、バレーボールというものと出会った。
それに熱心に取り組む姿は誰よりも煌めいていた。


私より身長が高くなっても、私は侑と治が大好きだった。

幼稚園、小学校、中学校、それから先もずっと一緒だと勘違いしていた。
中学3年生になって進路を考えないといけなくなった。


その時私は気付いたのだ。
いかに私が虚しい人間か。

侑と治のようにバレーボールが上手いわけでもなく、秀でたものがなかった。夢中になれるものさえも。
彼らの傍で彼らを見ていたから、自分も「何者か」であると勘違いしていたのだ。


こんな、空っぽな人間に存在価値はあるのだろうか。

幼い頃は彼らを守るという使命感があった。いや、今もある。あるけれど、ずっと私が守っていなくてもいいのだと。そう思ってしまった。

いつか彼らは私より大事なひとを見つけて、そのひとを、それ以外のひとを守っていくだろう。
私から、離れていくだろう。それが当たり前だ。
ずっと一緒に居れるわけがなかった。


いつか離れる時がくるなら、私が出来る最大限の、愛ある行動を。
彼らが何にも阻まれず、健やかに過ごしていけるように。


いつか離れるなら、私がそれを決めてしまおう。
大学に上がると共にここを離れよう。東京の大学に行って、就職して、誰かと家庭を築いて。

私が思う幸せを手にしよう。



それでも、彼らへの愛情は消えるものではない。
彼らが可愛すぎて仕方無い私だから、私自身で区切りをつける。




____これは苦しい弟離れだ。

赤鼻のトナカイ→←.



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宮瀬(プロフ) - 非常にすきです (3月14日 7時) (レス) @page41 id: 1103f6dc65 (このIDを非表示/違反報告)
aikarino(プロフ) - すてき (9月20日 0時) (レス) @page41 id: 6a0c38d02f (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 素敵な姉弟愛の物語で、とても感動しました。お姉さんもツインズも、お互いのことが大切なのがひしひしと伝わってきて、泣きそうになりました。色々な愛の形をこの作品で感じられて、胸が温かくなりました。素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (9月17日 23時) (レス) @page42 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
えるるるる(プロフ) - めちゃくちゃ読みやすい…!綺麗なお話だ…すごくすき… (2022年6月23日 20時) (レス) @page42 id: 80c508f955 (このIDを非表示/違反報告)
すー - フィクションなのは分かってるんですけど侑くんの言葉の一つ一つやいろんなシーンに感動して泣いてます…。素敵な作品ありがとうございます…!ホントにずっと涙が止まりません…。深夜にボロボロ泣いてる私って…笑これからも頑張ってください! (2021年7月29日 1時) (レス) id: 4912493c11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:13.m | 作成日時:2020年4月16日 10時

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