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俺たちが高校生に上がっても、俺と姉の間には壁があった。
いや、今までが近すぎたのかもしれない。
一般的な兄弟の距離になったのだと思う。


姉は約束通り、県大会などの大きなものは見に来てくれた。
それでも初日か最終日か、何にせよ一日しか見に来なかった。


あの日から姉ちゃんの弁当が美味しくない。
味付けは何も変わっていないのに、どうしても喉につっかかる。






「侑くん、治くん先行ったけど大丈夫なん?」

「は、まじで!?アイツ……!!」

「急げばまだ間に合うやろ?私も準備手伝ったげるから」

「姉ちゃん神様かっ!!」





姉は気付いているのに気付いていないふり。
俺も気付いているのに気付いていないふり。


違和感を覚えながらも、俺たちは仲良し兄弟を演じる。


腹の中を探り合わないのは暗黙の了解か何かか。
それでも尚、姉が俺たちに向ける愛情は確かに存在している。



全て、やめればいいのにと思う。
3つも掛け持ちしているバイトも、バレーが強いからと入学した高校も。俺たちの、姉であることも。


そうすれば姉は自由なのに。
鳥籠の中の鳥などではなく、ちゃんとしたあなたになれるのに。



それとも、俺たちがあなたの鳥籠になってしまっていたのだろうか。
あなたの羽を潰して飛べないようにしていたのだろうか。


そんな憶測が、当たってしまったのだ。
俺たちのせいで姉が自由になれていなかった。



いつも通り部活から帰れど姉はバイト。

もはや居ないことに慣れしまった。
朝にしか居ないのだと思うことの方が簡単だった。


食卓に居ない姉は本当に存在しているのだろうか。
あの空席と、姉の食器と共に、姉本人はどこかに消え去ってしまったのだろう。

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宮瀬(プロフ) - 非常にすきです (3月14日 7時) (レス) @page41 id: 1103f6dc65 (このIDを非表示/違反報告)
aikarino(プロフ) - すてき (9月20日 0時) (レス) @page41 id: 6a0c38d02f (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 素敵な姉弟愛の物語で、とても感動しました。お姉さんもツインズも、お互いのことが大切なのがひしひしと伝わってきて、泣きそうになりました。色々な愛の形をこの作品で感じられて、胸が温かくなりました。素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (9月17日 23時) (レス) @page42 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
えるるるる(プロフ) - めちゃくちゃ読みやすい…!綺麗なお話だ…すごくすき… (2022年6月23日 20時) (レス) @page42 id: 80c508f955 (このIDを非表示/違反報告)
すー - フィクションなのは分かってるんですけど侑くんの言葉の一つ一つやいろんなシーンに感動して泣いてます…。素敵な作品ありがとうございます…!ホントにずっと涙が止まりません…。深夜にボロボロ泣いてる私って…笑これからも頑張ってください! (2021年7月29日 1時) (レス) id: 4912493c11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:13.m | 作成日時:2020年4月16日 10時

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