元青道野球部マネのバイト先は青心寮でした2

日常 ページ23

小湊

洗い物をしながら、ふと食堂をみると、出て行く亮介
見間違えでなければ、右足を引きずっている


そして視線を戻すと、その姿を見ているであろう倉持の驚いた顔


どうしたものか
もし、後で亮介に会えたら、、、いや、余計なお世話か、、、？



バイトが終わり自転車に向かっていると、1人で座っている亮介


フゥと一息ついて、亮介の方へ歩き出す
足音に気づいて亮介が顔をあげる

「あ、お疲れ様です。いま、あがりですか？」


そう話す亮介の前にしゃがむ


「ねぇ、亮介」


「なんですか」


「テーピングする？」


「、、、どこをですか？」


「痛めてるんでしょ？その足」


右足を指差す


「、、、、いいえ」


「大丈夫だよ。確かにテーピングするの久しぶりだけど、マネの時は誰よりもテーピングへの自信はあったし。誰にも言わないし、誰も居ない所でするからさ。テーピングだけ持って来てくれる？」


「わかりました。部屋に取りに行ってきます」



落ち合う場所を決めてそこで待っていると、歩いてくる亮介。ポケットからテーピングを出すと、私の前に座る



「ちょっと触るよ」


脛が腫れている。これは痛いよね。痛いの場所を確認してテーピングを巻いて行く



「本当はさ病院を勧めるべきなのかもしれないけど、今はマネじゃないし、ただの部外者だから。怪我したからって誰にも言うつもりないんでしょ？亮介は、気持ちがめっちゃくちゃ強いもんね」


亮介が入学してきてからの事が呼び起こされる
周りからも不作だとボロカスに言われて、吐くほどの練習をして、正直言って体格には恵まれてないけど、それでも自分の持ち味を活かして、人にも自分にも厳しくてここまで登り着いた。不動のセカンド。少しずつ感情が昂ってくる


「これから先の野球よりも、今の亮介が大事なのは明日なんだよね？選手たちの気持ちを完全に理解するのは出来ないけど、なんとなく考える事は分かるから、、、」


テーピングしながら、視界が涙で揺らぐ


亮「Aさん？」



「、、、よし！できた」


最後、テーピングをした部分に手を添える


どうか痛みが強くならず、最後まで試合に出られますように


そう願って手を離す


「亮介。応援してるよ」


亮「ありがとうございます」

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