元青道野球部マネのバイト先は青心寮でした

彼の彼女 ページ32

(成宮)

バイトが終わり外に出て自転車に向かう。携帯をチェックすると、見間違いかなと思うほどの鬼電がかかっている。


何かあったのかと思い折り返しをかけると、秒で通話になる


「おそーーーい！！！！」


「！うるさ」


いきなり耳元で聞こえる叫び声に驚く


「うるさ！じゃないよ！！いや、いまどこ？」


「え？バイト先」


「とりあえず、早く帰って。帰り着いてから電話して」


「急ぎじゃないの？」


「急ぎだけど、遅くなったら余計に危ないから帰り着いたら電話して」


「わかった。じゃあ、またあとでね」

怒ってる癖に、優しい所に思わずにやけて電話をきる。


「A、帰り着いた？」


「うん」


「どうして言ってくれないの？」


「なんの話？」


「バイトだよ！バイト！」


「え？言ったよね。バイト始めるよって」


「青道なんて聞いてない！」


「あれ？言ってなかったっけ？」


「聞いてないよ！しかも、それを一也に知らされるという屈辱！」


そういえば言ったつもりでいたけど、言ってなかったかも。確かに、それは悪かったかな。


「え、あそっか。ごめんね」


「よりによって、男がうじゃうじゃ居る場所だし」


「確かに、男ばっかりだけど、顔見知りの部員だよ？」


「そうかもしれないけど、、それはそれで、、もう！なんでうちの調理室じゃないのさ」


「一応確認したけど、募集してなかったもん」


「もー！あー言えばこー言う」


何を言っても今は逆効果か


「辞めた方がいいの？」


「辞めなくていい！だって、将来考えて選んでるんでしょ？」


「まぁ、そうだけど」


「なら、辞めなくていい！でも、他の男とあんまり仲良くしないで欲しい。ただでさえ、会えないのに」


語尾がどんどん小さくなっていく鳴の声、多分、私の好きな顔をしてるんだろうな


「鳴」


「なに？」


「だいすきだからね」


「、、、そんなの知ってるよ！」


「そっか、それなら良かった」


「、、、から」


「ん？ごめん、聞こえなかった」


「俺もだから！」
　

いちいち声がデカいのも可愛いなぁ。今頃ほっぺた赤くなってるんだろうな。


「良かった。じゃあバイト代貯まったら、会いに行くね」


「待って、電車でそんな遠くなくない？！」


「ふふふふふ」


「なに？」


「いや、楽しくて」


「馬鹿にしてるでしょ？！」

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