俺の気になる人 ページ22
倉持
『はいはい、座ってる暇ないよー』
中学とは勿論比べものにならない強豪校の練習に日々鍛えられていた。
守備練習が終わり、立ってられず座り込むと頭上から聞こえてくる声
『座ってる暇ないよー』
やってないくせに何言ってやがんだ
『座ってる暇ないよー』
手を叩いて、座り込んでいる部員に声をかけてまわるマネが1人
3年マネージャーのAAさん。
あの東さんとも良く言い合っている強気なマネージャー。
立ち上がり水分を配っている別のマネの元へ向かう
『次、ベーランいきますよー』
よく通る声に、皆んながブーイングする
『文句があるなら、監督に言って下さーい』
誰も何も言えなくなる言葉で、ブーイングをねじ伏せる
静かになった部員に、ニヤリと笑いストップウォッチ片手に笛を咥える
『よーい』
ピーとグラウンドに笛の音が響き渡る
さすがの3年もバテバテで、3年がバテバテなら、1年は天に昇りそうである
『大丈夫?吐きそう?』
倒れている俺や御幸など1年の額に柔らかく冷たいアイスノンが乗せられていく
『しんどいよね、1年生には特に』
喋る気力もない俺たちはそのまま空を見ている
『残念だけど、まだまだ続くよ。どうする?辞める?』
優しい言葉の後に悪魔の言葉を吐いてAさんは、離れていく
「辞めねーよ、クソが」
『知ってるよ。がんばれ倉持』
振り返りながら嬉しそうに返事をしてくる。こんなに沢山の部員が居るのに、もう部員の名前を覚えているのか。
それから、俺と御幸は1年で一軍にあがった。室内練習場では、一軍に上がれなかった3年が泣いている。その1番後ろでAさんが同級生を眺めている、泣きそうな顔で。
翌日、一軍落ちした3年全員が部活に来ており、俺と御幸への期待という名の鬼練習が待っていた。その中にはAさんもしれっと混ざっていた。
先輩たちの扱きのお陰で日に日に体力はつき、体つきもしっかりしてきた。
そして、試合で初代打の出番
ボテボテの当たりだが脚力でヒットにする。その後盗塁をして、先輩のヒットにホームイン。
『やるじゃん、元ヤン』
戻ってきた俺にスコアブックから顔を上げてハイタッチを促してくる。不覚にも見惚れてしまったその笑顔に一瞬固まる。
『見事なボテボテ具合でスコアにゴロ付ける所だったよ』
「俺には余裕でヒットです」
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にとりる(プロフ) - もっちー様 苗字の件ありがとうございます!調整させていただきました💡とても嬉しいお言葉ありがとうございます!!励みになります🙌 (9月19日 7時) (レス) id: 3537585e1a (このIDを非表示/違反報告)
もっちー(プロフ) - 初めまして!ダイヤのAのお話が全然ないのでにとりる様の作品を読んでて嬉しい気持ちで溢れましたありがとうございます!あと氏名が出る所で名前で出ているのでもしかしたら苗字?の設定が上手くいってないかも知れないです。更新待ってます!好きです!! (9月19日 0時) (レス) @page38 id: 28f73aa9c2 (このIDを非表示/違反報告)
にとりる(プロフ) - 跡部王国の住民さま。ありがとうございます!とっても励みになります💡 (9月17日 8時) (レス) id: 3537585e1a (このIDを非表示/違反報告)
にとりる(プロフ) - 絵猫蒼さま。本当ですね!すみません、いつの間に、、教えていただきありがとうございました💦 (9月17日 8時) (レス) id: 3537585e1a (このIDを非表示/違反報告)
絵猫蒼(プロフ) - 失礼します、オ.リジナルフラグ立ってしまってますよ〜っ💦 (9月17日 8時) (レス) id: 546b1f5c91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にとりる | 作成日時:2023年8月17日 21時