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【JM Side】
何もかも上手くいかない。
ダンスも歌も全て。
周にはいつも通りに見えるのかもしれない。
でも、どうしても自分じゃ納得いかないんだよ。
こんな日は、いい事なんて考えられなくて。
このままじゃダメだって、誰かが言う声が聞こえる。
『お前なんて』
分かってるよ。
その先は言わないでよ。
『もういらないんだよ』
待って。
僕を置いていかないで。
まだ出来るから。
お願い。
僕もみんなと同じ場所に立っていたい。
だから、まだ行かないでよ。
ダンス室に1人。
孤独に耐える。
いくらダンスをしても満たされない。
身体は熱いのに、心は凍えるよう。
誰か
助けて。
「ジミナー」
嗚呼、来てくれた。
「A、ヒョ、、ン、、、」
掠れた声が出た。
ヒョンは欲しい時に欲しいものをくれる。
思わず手を伸ばす。
縋り付くように。引き留めるように。
次の瞬間僕は、
ヒョンの腕の中。
胸いっぱいにヒョンの匂いがする。
ヒョンを見上げると、僕を見て微笑んで
「ヒョンについてくる？」
って。
魔法にかかったように
コクコクと頷いた。
外はもう真夜中で。
ただ、
今、この世界は僕とヒョンを照らす月だけ。
「行くよ」
って僕の手を引くヒョンの手は暖かくて。
車に乗って、ヒョンが連れてきてくれたのは
真夜中の海だった。
月が黒い海に反射してやけに明るく見えた。
ヒョンは僕を見て
「一緒に踊るよ」
って言って、音楽を流し始めた。
2人で裸足になって、砂浜で踊った。
何もかも夢のようだった。
ヒョンの儚い踊りが、海の音が、
僕の心を洗ってくれるようだった。
どのくらい時間が経ったか分からないけど、
いつの間にか恐怖に押しつぶされそうな心は無くなっていて。
その夜はヒョンが僕を抱きしめながら一緒に寝てくれた。
それが、僕をどれだけ勇気づけてくれるかヒョンは知ってるのかな。
ありがとう、Aヒョン。
これは、僕とヒョンの秘密。
ヒョンと見る海と、白く光る月を
この先もずっと覚えておこう。
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作者名：茉莉花 | 作成日時：2020年2月28日 23時
