レミリア受けの短編集【東方】

フラレミ ページ30

「誕生日プレゼント、何が欲しい？」

意味がわからなかった。"誕生日"という言葉も"プレゼント"という名詞も"何"という単語も"欲しい"という動詞も"が"という接続語だって理解してはいるものの文としての意味がわからなかった。

私が言葉を紡げず黙っているとお姉さまが気まずそうに続けた。

「ほら、貴女の誕生日ってすぐでしょう？趣味でないものを渡されるより何が欲しいか聞いた方がいいと思って」

困った様子のお姉さまに私もーーー顔には出さないがーーー困ってしまう。
本当に欲しいものを言えば

『私お姉さまが欲しいなぁ』

『…………フラン？……あー、そういう趣味なのね…ｱﾊﾊ』
となるか、
『……………』と引いた顔で距離を置かれるか。
どちらにせよ、むこう1000年は引きこもること間違いなしだ。億が一にも希望はない。無難なものを頼みたいが普通の生活をしてこなかった私に思い浮かぶ道理もない。

「じゃーお姉さま、ご本を読み聞かせてほしいわ！知らない文字がたくさんあって読めないの…」

結果:猫を被ることにした。

「わかったわ、どんな本を見たいの？」

笑いかけてくるお姉さまをずっと見ていたいと思いながら

「んーとね、シャーロック・ホームズ全60巻！」

できるだけ長い本の名前を口にした。

心踊らせる冒険談にも、甘く切ない恋物語だって、興味ない。ただ貴女のそばにいたいだけの口実に過ぎないのだから。






(……オネーサマがんばるわ)

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