レミリア受けの短編集【東方】

フラレミ ページ18

毎年この時期になると枕元に花が置いてある。差出人はお姉さま。
私を閉じ込めた最愛の人。
例えばこの花が真っ赤な薔薇だったなら憂鬱な気分も吹き飛んで物を壊すことなどなくなるだろうに。何度見ても綺麗な紫のヒヤシンス。私が幼い頃から送られてきた『後悔』の花。
手を握って、たったそれだけの動作で儚い花は粉々に砕け散る。
パチュリーの本で調べたことがある。毎年送られる紫のヒヤシンスに疑問を持って。載っていたのは『後悔』と『許してください』という文字。
お姉さまがそんなことを考えていたなんて信じられなくてとても葛藤したのを覚えている。
そしてお姉さまが私に優しく接してくれるのも同情と自責の念にとらわれてのことだったなんて、すぐに気づいた。






体内時計のすっかり狂った私はわからないがもういい子の吸血鬼は寝る時間だ。その証拠にお姉さまがこの部屋に近づいてきている。ドアが開いた。
私は慌てて目をつむる。
お姉さまはベッドで狸寝入りをしている私の頬を撫でた。何故か頬に冷たい感触がしたので薄目を開けるとお姉さまが泣いていた。
きっと粉々に砕け散った花に気付いたのだろう。お姉さまは自分は妹に嫌われてると思っている。
それは間違いだが、私はその事を伝えられない。「大好き」と一言言えば済む話なのに何度目かわからないくらいに「大好き」を言おうと口を開こうとして諦めた。意気地のない私はお姉さまが私を撫でるのを甘んじて受け入れた。

きっと来年も紫のヒヤシンスは送られるだろう

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