【刀剣乱舞】苺一会。第二章 その参

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荒御魂――荒々しく勇猛な神霊という意味だが、審神者の間では少しばかりちがう意味になる。

刀剣男士が、なんらかの理由によりその神格を堕とした時の総称。




ごぶり、と、なにかが溢れる。




「加州！！」

「主！」

「離せ！！！！！」



思わず動いた体を抱え込まれる。視界で揺れる水色に噛み付いた。しかしその刀剣は、一期はその力を緩めることはしない。

「いいえ、離しません。離すわけないでしょう！アレはもう加州清光ではない！荒御魂に近い………鬼だ！」

「っ、でも！！鬼がなんだ！豆でも投げつけりゃあ
いいんだろ！！」

「んなことで鬼が払えるとでも？！アキ殿の本丸で見たでしょう、我ら刀剣男士は、鬼になり、荒御魂になれば…………味方さえも食らう、畜生以下の存在になります」

「………それでも！加州を助けなきゃ！！」



こうして口論している間にも加州の体からは黒く重い臭気がただよってきている。




「あなたは！！！」

「、」

「私の主です。あの刀剣の主ではない。…………他の刀剣のために、あなたが命を落とすかもしれないなんて……………もう、二度と、味わいたくないのです」



ぎゅう、と腕を握られてようやく、気づいた。震えている。一期が。

そして、台詞で思い出す。彼は、私があの世界にいた時、ずっと想ってくれていた。ずっと、ずっと。祈ってくれていた。


それでも、そう思われていても。




「ごめん、一期」

「、」


「目の前で、起きていることを見過ごすことなんて私にはできないの」







それが、私だから。





「ごめんね、一期」





なんども、あやまって。

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