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「っ、」
なにが、起きたのだろうか。
なんで、馬鹿馬鹿しい自問自答。
突き刺さる白刃。どくどくと流れ出す赤。ちらりと見えるピンク色のそれ。
朱に染まる、彼の白藍の髪。
「避けなさいよ、江雪………っ」
彼の肩に食い込み、命を蝕む私の刀。
「なにをしてるの江雪!!!そんなやつ、早く殺しなさい!!!」
ヒステリックに叫ぶ見習いちゃん。それに反応しないまま、江雪は私の髪を撫でた。
やめて、
やめて、
溢れてしまうから。
「これで、いいのです……」
これが、最善なのだ。
抜き身の刀をそのまま掴むと、江雪はそれを自身から引き抜いた。
ぼた、と重い音がして床に朱が咲く。
一輪一輪咲いていくそれに、私ののどは震えた。
「江雪!!!!!」
まだ、叫ぶ見習い。
私からなにもかもうばった見習い。
知っていた。
私が、審神者をやめさせられた理由。
乗っ取り、というものはすべて壊していく。
見習いは父が政府の高官という、よくある話。両親も身寄りもいない私には、とてもかなわない相手。私の本丸を手に入れたあとも、彼女は私の家族を欲した。
それが、左文字三兄弟。
小夜も、宗三も。
江雪も。
私を守るために、私を裏切った。
そんなこと、望んでいなかったのに。
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亡王月(プロフ) - 続き読みたいィィィィいいいいいいい (2017年2月25日 10時) (レス) id: daae0ce9c5 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - 続きが!!続きが!!続きがぁぁぁ!!良いところで終わってるぅぅ!!続きを待っていますぅぅ!! (2016年12月22日 19時) (レス) id: 5d7c126e76 (このIDを非表示/違反報告)
千鶴@いちごおれ - ろいど軍曹さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるなんてとても嬉しいです!重ね重ねではありますが、ありがとうございます!!! (2016年9月5日 20時) (レス) id: 49fc139959 (このIDを非表示/違反報告)
千鶴@いちごおれ - 幻想郷の神になってみたいさん» コメントありがとうございます!バイトも短期だったので、更新再開しました! (2016年9月5日 20時) (レス) id: 49fc139959 (このIDを非表示/違反報告)
ろいど軍曹(プロフ) - あああ素敵本当に素敵です感動…自分が初めて読んだ刀剣乱舞の小説が千鶴さんのこの小説だったのですが、やはり好きです 自分にとっては原点なので戻ってきてしまいます あああ本当に好きですこの小説… (2016年9月3日 21時) (レス) id: d3d55130b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千鶴@いちごおれ | 作成日時:2015年11月17日 17時