Oh Boy (ページ29)

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奈央「 …登坂くん！！」

私ばっか話してるから、顔を上げたら

そこにいたのは今市ではなく

右手に絆創膏をした登坂くんだった

広臣「隆二かと思った？」

奈央「うん… ごめん」

登坂くん相手に何話してんの…

うわ、一気に恥ずかしくなってきた

広臣「直人さん好きなんだ」

私の横にしゃがみこんで顔を覗いてくる登坂くんに思わず、膝に顔を埋める

今市だと思って話してたもんだから、バレるよね…

広臣「隆二が別れたのはモッチーのせいなんかじゃないよ」

奈央「えっ？」

顔を上げると、にっこりと笑う登坂くん

ああ、女の子はこの笑顔に堕ちていくんだろうな…

広臣「隆二からすれば、友達と話せなくなるまで

一緒にいたい相手じゃ無かったんだよさくらは」

奈央「……」

広臣「いつから直人さん好きなの？」

奈央「1年前… よくご飯行ったりしてたんだ」

広臣「そうなんだ、全然知らなかった」

奈央「でも、片岡さんは私達の新歓の時から

さくらの事が好きなんだって」

話すつもりなんか無かったのに

気が付けば登坂くんに話してた

奈央「私、最初から勝ち目なんかなかった…

大学入ってからこんな頑張ったの初めてなのに」

はあ…

今の自分、すっごい嫌だな

奈央「それに私、いま今市にヒドい事言おうとしてた。

登坂くんだったから良かったけど…

仲良くしてくれてる友達なのに、私最低だよね」

広臣「そんな事ないだろ」

私も今市と話せなくなるのは

学校生活がつまんなくなるのと同じだから無理だ…

広臣「もっとさ、頼ったら？

隆二に言い辛い事があれば俺でもいいし、

ゆっくり考えていけばいいじゃん」

奈央「…ありがとう」

さっきまでいろんな事を考えすぎてモヤモヤしてたけど

言いたい事言えてスッキリした気がする

ある意味、登坂くんが側にいてくれて良かったかも

奈央「よし！もう大丈夫」

広臣「おう。寒いから中戻ろうぜ」

絆創膏の付いた手で私の腕を掴んで立たせてくれた

奈央「うん！」

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