5話 ページ6
Aside
熱い、暑い、あつい
ただその言葉だけがぐるぐると頭の中を何周も駆け回る。
こんなところで魔界最高火力の炎を体験なんてしたくなかった。と熱でやられつつある頭で悪態をついた。きっとイフリートが原因はわからない突然の爆発から私を庇ってくれているということも、彼が庇ってくれなければ無傷でいられなかったということもわかってる。でも、それはそれとして熱さにジリジリと肌が痛むのも、乾く喉も、自分が取り込める酸素が減っていくのを実感するのも嫌なのだ。
「もう少しで煙がはれるから待って」
そうかけられた声に、庇われているという立場で熱いから逃げ出すなんてことはできなかった。鱗がパキメキと現れる感覚は久しぶりで、不快で。ただ、下を向いてじっと耐える。
早く、速く、はれて、そして、水を、
ん？…………なんか、さっきより暑くない？
顎を伝って落ちる汗を見ながらふと思い、顔を上げる。
＿＿ひゅっ、と喉が引き攣ったのは乾燥か、
恐怖か。
「…イ、フリ…ト」
見上げた先では瞳孔を開いた紫炎色の瞳が食い入るように、じっとこちらを見ていた。
その瞳の力強さに恐怖で、私も目が離せない。
彼の羽も瞳も普段よりも明るく、強く燃え盛っていて脳内が警鐘を鳴らす。
彼の拘束を解こうと押すが、それすらも熱さで力が思うようにでない。
「ああ！もう！」
歯を食いしばり、ひたすらに声をかける。
「イフリート」
「イフリート！…っ熱いって言ってんじゃん！」
＿＿イフリート・ジン・エイト！！
一向に変化のない彼にむしゃくしゃして、精一杯の力で頭突きをかます。
次の瞬間に「ったあ？！」という声が聞こえてきて安堵と共に、怒りが沸々と湧いてきた。
痛い、額が燃えるように痛い。ほんと、散々だ。なんでこんな、あんな目を私が向けられないといけないの。
私が頭突きをした目の前の悪魔はまだ状況が把握し切れてないようで、「ん？あれ？」と目を白黒とさせている。その姿にさらに私の苛立ちは募っていき、乾燥で痛む喉なんて気にせず叫んだ。
「熱い！からさっさとそれしまえ！！」
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本人 - 紅しょうがさん» ありがとうございます☺️ (7月17日 22時) (
レス) id: ba52897e96 (このIDを非表示/違反報告)
紅しょうが - めちゃくちゃ好きです‼更新待っています！ (7月17日 19時) (レス) @page6 id: 333fed96b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2023年7月14日 18時
