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ゲーム中に解読機を叩くのはあまり好きではない。
何かを叩くこと自体、
昔を思い出してならないから。
『今日のハンターはリッパーさんか……』
目がチカチカしてきたから、遠くを見た。
向こう側でナワーブとリッパーさんが楽しそうに走ってる。
こっちまで来ることはなさそうだから、
もう少しだけ解読しておこうかな。
「おや、Aさん。一緒に解読してもいいかい?」
『い、イライ、さ…ん』
一人で解読していると、
イライさんが走ってきた。
一緒に解読しても良いけど、心臓がバクバク言いすぎて怖い。
これじゃあ、何時ハンターが来ても分からない……。
「大丈夫かい、どこかに怪我でも」
『違う、ち、違います……。でも、私と一緒、に解読する…と遅くな、りますよ?』
私がそう言うと、イライさんは向日葵みたいな笑顔でこう言った。
「構わないよ。君はいつも一人で解読しているだろう?偶には2人でどうかなってね」
それにもう残り1台だけだし、
そう言われて初めて気づいた。
『あっ、ありが、とうござい、ます』
「肩の力を抜いて。さっさと解読してしまおう。今日はみんなで荘園に帰れそうだ」
『ナ、ワーブの…おかげです…ね』
人が近くにいると落ち着かない。
でも、
イライさんなら少しだけ安心できる気がした。
……本当に心臓はバクバクして痛いけど。
2人で解読を終えた。
「よっしゃ、ゲート開いたよ!」
当たりを窺っていると、
手元の端末から、機会技師・トレイシーの声が聞こえた。
イライさんと顔を見合わせ、
ナワーブをさがしながらゲートまで走ることにした。
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