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私はこの荘園に来て一目ぼれをした。
学生が小さな胸を焦がして、
明日には忘れるような恋じゃない。
この身が塵になってしまえば良いのにと
何度思ったことか。
『あ、イライさんだ……』
ノートンさん、エマちゃん、フィオナさんと一緒に彼が通った。
さっと壁に隠れるようにして、やり過ごす。
途中で不思議な顔をしたノートンさんと目が合ったが、気にしない。
いつものように微笑みを浮かべ、
黒いローブを翻す姿はとてもカッコいい。
そうやって、とおり過ぎたイライさんの後ろ姿を眺めていると
肩を叩かれた。
驚いて振り返ると、
親しくしてくれているナワーブがいた。
『ナワーブ、くん。お早うございます……』
「おはよっ、A。今日のゲームは、午後に一緒だな」
『そうですね……』
緑色のパーカーが良く似合う彼はとても良い人だ。
星なんか見なくても分かる。
今もこうして話しかけてくれたし、
ゲームではとても頼りになる。
傭兵という職業から、少し怖がっていたけどなんてことは無かった。
「そういや、Aは午後まですることあるのか?」
ぼーっとしていると、彼が頭をかきながら訪ねてきた。
顔が良いと、何をしても似合うのだな。
きっとイライさんもこんなポーズが似合うのだろう。
『あ…ジョゼフさんの……お茶会に、行きます』
「お、良いな。僕もいっしょに行っていいか?」
『どうぞ……。ジョゼフさん、優しいから…良いと思う』
私は彼にそう返した。
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