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Side,Eli ページ15



私と同じような職種についている彼女は、

とても魅力的だった。

深くかぶったヴェールで表情は窺えないが、


彼女が優しい人物であるのは間違いなかった。


「どうした、相棒」


ある日、私の相棒が夜中にほえだした。

相棒が夜に吼えることは、まず無い。


何かあったのだろうかと、寝ぼけ眼で

私は相棒のもとへ近づいた。


相棒は吼え続け、

くるりと顔を動かした。


「ん?中庭がどうかしたのかい……A?」


どんな季節であろうとここの中庭では

夜には霧が立ち込める。

不思議と気温が下がり、寒くなる。


そんな中庭にAが佇んでいた。


真っ白いヴェールを被り、

魅入られたように空を見上げている。

顔はこちらからは見えない。

ただ、哀しそうなのは分かった。


「ほぉー」
「ん、そうだね」


相棒が不安そうに鳴いた。

きっと、このままでは風邪をひいてしまうと言いたいのだろう。

同感だ。

私は直ぐに中庭まで降りていった。


話をよく聞けば、彼女は毎夜のように

中庭へ来ていることが分かった。

私の細やかな楽しみができた。

彼女の弱い姿を知っているのは私だけかもしれない。

そう思うと、嬉しくなったのはナイショだ。


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作者名:三千幸 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年11月24日 20時

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