episode.44 ページ44
『マイキーくん！！！！！！』
マイキー「A？！」
『ねえ！！！どうして！！！どうしてマイキーくんと私から大事なものを奪うの！！！ねえ！！どうして！！！」
タケミチ「Aちゃん！！！ﾊｧﾊｧ」
マイキー「タケミっち？！」
タケミチさんは私を追いかけてくれていた。
マイキー「A…。俺たちばっかり、なんでだろうな」
タケミチ「マイキーくん…」
涙が止まらなかった。
マイキーくんの切ない笑顔が、さらに辛かった。
『兄ちゃんも…真一郎くんも…エマちゃんまで…どうして』
マイキーくんは私を強く抱き締めてくれた。
マイキー「エマとけんちんはさ、両想いなんだよ」
『そうなの？』
マイキー「うん。エマは幸せ者だな」
『エマちゃん……』
マイキー「前にも言ったけどさ、お前絶対幸せになれよ。場地と俺の願いだ」
『私……たまにわからなくなるよ。カズくんのこと本当に大好きだけど、カズくんは私たちから大事なものをたくさん奪ったでしょ。最後に会った時だって、別人みたいに怖かった。次会えた時にはもう私の事なんて忘れてるんじゃないかって…それなのに私…ずっと忘れられなくて…』
タケミチ「Aちゃん」
『はい？』
タケミチ「なかなか2人で話す機会無かったから言えてなかったんだけどさ…」
マイキーくんも私も、タケミチさんの話に耳を傾けた。
タケミチ「俺、ドラケンくんと一緒に一虎くんの面会に行ってさ」
マイキー「………。」
タケミチ「その時、一虎くん言ってんだ」
『え…』
タケミチ「"今度こそちゃんと更生するつもりだ"って。そしたらドラケンくんが死ぬなよって言っててさ」
『カズくん…』
タケミチ「一虎くん、最初死ぬ気で…でもマイキーくんからの伝言伝えたら涙流してたよ。"これからもお前は東卍の一員だ"って」
マイキー「くっ………」
タケミチ「そしたら一虎くん泣きながらさ、"許されるか分からねぇけど俺、またAに会いてぇ"って」
『え……』
タケミチ「だから大丈夫だよ、Aちゃん。一虎くんにとってAちゃんは生きる希望なんだと思う」
嬉しくて嬉しくて、涙が止まらない。
カズくん、私の事そんなふうに…
マイキー「よかったな、A」
マイキーくんも少し泣いてた。
複雑な気持ちだよね。
私もそう。
ただひとつ言えるのは、
兄ちゃん、ありがとう。
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作者名：菜一郎 | 作成日時：2021年7月13日 18時
