【東リべ】変わらないモノ (ページ18)

今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:6,224 hit

episode.18 ページ18

お母さんからだ。

『もしもし？』

母「………何時に帰る？」

あれ、なんかお母さん元気ない。

『今帰ってるとこ。あと30分くらいで帰り着くよ』

母「そっか。ちょっといろいろあって…帰ったら話す」

『う、うん…わかった』

何があったのかな。

少し嫌な予感がした。

===

『ただいま』

リビングに向かうと、お母さんと兄ちゃんがいた。
2人とも暗い顔。
兄ちゃんは目が腫れていた。

母「…おかえり」

圭介「………。」

『なにがあったの？』

圭介「……一虎が」

『え？か、カズくんが何？！なにがあったの？！』

母「A落ち着いて…！」

『ご、ごめん…』

カズくんの一大事だと察し、つい取り乱してしまった。

一旦落ち着いてから、兄ちゃんにゆっくり話を聞いた。

受け入れられなかった。

カズくんが…真一郎くんを殺した？

なにそれ。

真一郎くんが死んだって？

どういうことなの？

兄ちゃんは泣いていた。

わたしは頭が真っ白になった。

兄ちゃんはカズくんと一緒に、マイキーくんにプレゼントをするためにバイクを盗もうとしたって。
それで店の人に見られたから殴ったって。

そこのバイク屋が真一郎くんのお店だって知らなかったって。

…わたし知ってたよ。

だってこの間バイク屋で真一郎くんに会ったもん。
でも兄ちゃんには話さなかった。

だって…真一郎くん、マイキーくんにサプライズだって。
内緒って言ってたから…

マイキーくんの誕生日が終わったら兄ちゃんにも真一郎くんがバイク屋やってること話そうって思ってたよ……
一緒に遊びに行こうって…思ってたよ…

え…、もしかして、私が兄ちゃんに初めから話しておけば、こんなことにならなかった？
バイク屋のことも、プレゼントのことも、話しときゃよかった？

あれ、真一郎くんってもういないの？

え…あれ…

母「A！！！しっかりしなさい…！！！」

『…ﾊｯ！お母さん…』

私はようやく正気に戻り、泣いた。

兄ちゃんも、きっとカズくんを止められなかったことを後悔してるんだ。

わたしも、兄ちゃんに早く話さなかったことを後悔してる。

『兄ちゃん…』

圭介「…………A！！！ごめんなぁ！ごめん……！！！」

兄ちゃんは私を抱きしめて泣いた。
何度も何度も謝って。

『兄ちゃん！！！兄ちゃん！！！』

わたしも兄ちゃんを強く抱き締めて泣いた。

お母さんもたくさん泣いてた。