蛇柱の継子はどうやら無口な様です。

肆拾弐 ページ44

小芭内side


師範へ


これを読んでいるってことは、もう私は


この世には居ないんですね。


両親を鬼に殺されて、身寄りのない私を


引き取って下さりありがとうございました。


師範の継子として、ちゃんとやれましたか？


無口で心を開けなかった私は、師範に


助けられてばかりでした。


師範と一緒にいるあの屋敷でたくさんのことが


ありましたね。突然師範は泣き出すし


鏑丸くんは、広い屋敷で隠れるし、


師範の口の傷も美しくてあれから、


ずっと意識をしていました。


気づいたら、師範に恋心を抱いていました。


師範の命が尽きるまでは、生きていたかった。


師範の隣で笑っていたかった。


手加減なしの稽古も私にとっては


物凄く幸せだった。


命が尽きなければいいのにって。


鬼の血鬼術にかからなければ良かったのに、


どうして私なのって恨んでも恨みきれない。


私が居なくなって、早く鬼も滅殺されればいいですね。


師範、凄く凄く、大好きです、


ほら、師範...今夜は月が綺麗ですよ。


お元気で。


A。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿


A、お前が居なくなってもお前は罪な女だな。


こんな文通を寄越して先に逝ってしまうなんて。


誓おう、必ずお前を来世で幸せにしてやる。


それまで、他の男に目移りなんてするなよ。


俺はいつまでも愛している。


俺はそう心に呟いて


小｢月が綺麗だな、A。｣


満月の夜空に呟き見上げた＿＿＿＿＿＿＿＿

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