8話 ページ8
「えっ、Aちゃん何も考えずに来たの…?」
「だって受かると思わなかったんですもん…。どうしましょう…。」
すると、また「ハァ…。」と大きなため息が聞こえた。
「まぁ通信制の学校もあるしね…。」
「前の学校、そんな制度なかったの?」
「えっと…。あ。」
私はとんでもないことに気がついてしまった。これ、言うべき?
「あっ、て何。」
「え、いやぁその……。わっかりました、話す、話しますから!神谷さん蔑むような目で見ないでください。」
怖い。視線が凍ってた。あれ絶対人の心打ち砕くことできる…。
「いや、うちの学校単位制で、単位さえあれば卒業できるなぁと…。」
土日もあって、生徒によれば夜まで授業を受けれた気がする。なんかよくわかんないけど、すごく画期的だってお母さんが言ってた気がする。
「で?単位はどれぐらいあるの?」
「えっと…無遅刻無欠席、やれるだけの単位は全部取ってます…。あとどれぐらいいるかは、電話して聞いてみないとわかんないです。」
「それ、いけるんじゃない?」
いつの間にか私に視線が集まっていて、美男美女な方々に見つめられてると思うと、自然と頬が赤く染まる。いや、見つめられてたわけじゃないけど。
「ま、その辺は明日考えよ。」
誰かの楽観的な言葉から、この話はやめになった。んー…とりあえず一週間ぐらい休むかなぁ…幸い、もうちょっとで冬休みに入るし。
「福原ちゃんはなんで声優になろうと思ったの?」
ざわざわとしていたお店の個室が、神谷さんの一言でまた静まり返った。皆が興味津々といった様子で私の方を見ている。
「色々ありますけど…一番は、みなさんと一緒にお仕事がしたかったからです。アニメも好き、声優も好き、演技も好き…。趣味が合う人、分かり合える人とお仕事がしたい、って思ったんです。…不順な動機ですよ、」
「福原さんって、大人びてるよね…。」
「そんなことないですよ、全然。」
我が子を見るような目で見てくる皆さんの視線が痛くて、ふいっと違う方を向いた。
ピリリリリ ピリリリリ ピリリリリ
誰かの携帯がなった。皆、自分ではないかとポケットやカバンを見る。まぁ私は見てないけど。だって着信音別のやつだし。
「あ、俺だ。ごめんみんな。ちょっと出ていい?」
福山さんはみんなに確認したあと、ピッと電話に出た。
ちょっと焦ってるみたいだけどどうかしたんだろうか。
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みゆ(プロフ) - 夢主ちゃんのキャラが可愛くて大好きです笑笑私自身関西人で、共感するところが多く、笑いながら読みました笑お忙しいとは思いますが、作品の1読者としてこれからも更新を楽しみにしています!これからも応援してます! (2017年3月15日 10時) (レス) id: 048c9e1cff (このIDを非表示/違反報告)
五十嵐紗月(プロフ) - しんちゃんさん» ありがとうございます!そうなんですね、私もそうなので書いてみたいなっていう好奇心に負けました(笑)ありがとうございます、頑張ります! (2017年1月6日 23時) (レス) id: e9793b59f4 (このIDを非表示/違反報告)
彩葉波姫 - 面白いです!中学生設定って少ないので凄く嬉しいです!これからも更新頑張ってください! (2017年1月5日 10時) (レス) id: a7f3193d11 (このIDを非表示/違反報告)
しんちゃん - めっちゃおもしろいです!私も兵庫出身の中2なんで親近感が...!笑笑 更新頑張ってください! (2016年12月17日 12時) (レス) id: 10c29f930b (このIDを非表示/違反報告)
五十嵐紗月(プロフ) - 玲奈さん» ありがとうございます!とてもうれしいです。こちらは息抜き程度に書いていて、更新が遅くなるかと思いますが、これからもよろしくお願いします! (2016年12月13日 19時) (レス) id: e9793b59f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:五十嵐紗月 | 作成日時:2016年11月27日 9時