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果たして、聞きたかったのは本当にそれなのだろうか? 疑問に思いながらも、「はい、一人ですよ」と答える。
(まあ、この前まで二人暮らしでしたけどね。なんて、心の中で虚しく自虐を飛ばしておいた)

「そうなんですね」と彼は言って、また考えるように目を泳がせた。私は大人しく彼の次の言葉を待っていると、その挙動不審な様子から、不意に先ほどの彼の奇妙な動きが思い出されて、思わず「ふっ」と笑ってしまった。え、と彼の目が丸くなる。


「ごめんなさい、さっき同居人の方に呼ばれたとき、すごい動きしてたから、」

「俺が?」

「うん」

「どんな動きしてました?」

「こんな動き。腕がこんなふうに回って、わー! って」


『わー!!』と声を上げながらびょんっと跳び上がり、首をすくめて、長い腕を持て余すように頭の回りでぐねんぐねんと動かしてみせる。誇張はしていない。本当にこんな、きれいな顔に似合わない宇宙人のような動きでクローゼットを飛び出していったのだ。

彼は私の再現度100%のパフォーマンスを見ると、一瞬きょとんとして、そしてくしゃっと笑った。


「ふっ、俺そんな動きしてました?」

「してました」

「ふはっ」


ヒョンジンさんって、こんな顔で笑うんだ。
厚めのまぶたに目が覆い隠されて、顔にシワが寄った、子どもみたいな笑顔だった。

思わずぼうとその笑顔を見つめる。彼のほうがずっと身長が高いから見上げるかたちになって、私の視線に気付いた彼が上から私の顔を覗き込んできて、はたと我に返った。


「あ、そういえば、何かありました? さっき、こっちに来ようとしているように見えましたけど」

「ああ、さっきは……あっ、悪いことは考えてません。ただ話したいことがあって、ノックしたら聞こえるかなと思って」

「そうだったんですね。どういった用件ですか?」

「えーと……いえ、大丈夫です」


彼はまた言葉を濁し、黙ってしまった。私も深追いはせず、「そうですか」と話を切り上げる。
穴は閉じる気配はないし、これといった解決策もない。私たちはその日、今更だけど互いの荷物には触らないことを約束して、話を切り上げた。

「それじゃ」

ヒョンジンさんは首でお辞儀して、彼の部屋、私のクローゼットの奥へと戻っていく。

"またね"。
"さよなら"。
どれも違う気がして、私も「はい、それじゃあ」と曖昧に会釈してドアを閉じた。


それが、彼との二回目の接触だった。



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菜々(プロフ) - 続きが楽しみです。更新されるの心待ちにしています🥲 (3月20日 17時) (レス) @page45 id: 6590863194 (このIDを非表示/違反報告)
- いつか更新されますように。 (2月2日 0時) (レス) @page45 id: 832e916a41 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めまして。この作品を読んで癒されて、思わず一気読みしてしまいました!本当に好きなお話で続きがとても読みたくて思わずコメントしてしまいました。更新を楽しみにしています。 (1月26日 21時) (レス) id: 055f1baafa (このIDを非表示/違反報告)
夜明 - すごく面白かったです!次の更新が楽しみです! (1月15日 21時) (レス) @page45 id: 9cb33f84df (このIDを非表示/違反報告)
belle(プロフ) - 初めまして!このお話好きすぎて心が癒されました。少しずつでも更新楽しみにしてます。 (1月3日 1時) (レス) @page45 id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:gigi | 作成日時:2023年3月7日 21時

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